3月12日の土曜日の晩、六本木でみました。
Adam McKayにまさかまさかのオスカーをもたらしてしまった実録金融ドラマ。
映画もオスカーもほんとうにあったことなの。
ちょっと変わり者の投資家たち - Christian Bale, Steve Carell, Ryan Gosling, Brad Pitt - が、普通の人が目をつけないようなマーケットの隅っこの動きに目をつけて、何か(の予兆)に気づいて、やがて彼らがこわごわ予測した通りに世界がひっくり返ってしまう。同じ原作者 - Michael Lewis - による "Moneyball" (2011) も統計学を野球勝負に適用したらなんか変なものが見えてしまった、という話だったが、これも同じように、ふつうの投資家達の見ていないところを見ていた数人が「それ」に気づいて、気づいておいた人は儲かって、気づかなかった大半のひとは大損して世界は大変なことになった。金融とか経済の言葉がわかんなくてもだいじょうぶ。 たぶん。
Adam McKayがコメディの世界も含めて描こうとしているのは、そんなふうにふつーに認知されて成り立って機能している世の中がようく見てみるといかに変てこな原理原則とか偏見とか人とかによって支配されているのか、ということなんだと思う。
Anchorman(放送業界)もThe Other Guys(警察業界)も、正義や大義が公正さで動いていると思われがちな世界なのに、一部の変な野郎どもとか慣習とかによってぱんぱんに縛られているのかをてんこ盛りのギャグ風刺と共に明らかにしていた。”Step Brothers” (2008)は? ... きちんと見直してみたいところだが、家族 .. かなあ。
とにかく今度のこれは世界経済の相当にでっかい部分を担っているアメリカの金融システムが実のところはゴミのロンダリング集積場で、更にはそいつが格差を助長する仕組みとしても見事に機能していた、というのを皮肉たっぷりに描きだす。んで、なんといっても一番の皮肉ときたら、これが本当の話で現実に起こって、沢山のひとが路頭に迷って経済大パニックになった、ていうことだよね。
あともういっこの皮肉、というかあーあ、は、これの本当の主因、というか悪い奴はなんなのか、だれなのか、がよくわかんないことなの。
だからほんとうであればその仕組みの、世界のゴミっぷりを暴いて大儲けした連中の痛快さがたまんないはずなのに、みんな苦虫で、最後にはなんだよこれ、みたいな顔になる。
お金の正体がわからなくてもお金儲けはできるし、神の正体がわからなくても神を崇めることはできる。 でもそれがうまいこと行き過ぎてそもそも経済って ... ? になってしまうのが、例えば最後のほうのSteve Carellの顔。
あともういっこ、Adam McKayが追っているのがマチズモ - 男根優位主義の異様さへんてこさで、この映画に出てくる連中はおとなしいけど、やはりその世界の住人なんだよね。 金融もメディアも警察も家族もスポーツも戦争も、牛耳っているのはオトコの論理で倫理で。 そこにAdam McKayは切りこんでいく。
これのオルタナバージョンができるはずだし作ってほしい。
Christian Baleの役をやるのはWill Ferrellに決まっているの。
4.02.2016
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