4.17.2016

[film] Qu'est-ce qu'on a fait au Bon Dieu? (2014)

元のトラックに戻って、3月27日、日曜日の午後、恵比寿でみました。

原題をGoogle翻訳にかけると『私たちは神に何をしましたか?』。 
英語題は、”Serial (Bad) Weddings” 。 邦題は『最高の花婿』...

郊外のお屋敷に暮らすパパとママがいて、彼らには娘が4人いて、最初の娘の結婚相手はアラブ系で、次の娘のはユダヤ系で、次の娘のはチャイニーズで、べつにそれぞれ幸せにやっているようだからよいのだが、ふつうの家庭の婿-娘親の関係の理想型から見るとやはりちょっと気遣いしなきゃいけないところ多いし、義兄弟間でもなんだよそれ、みたいなしょうもない小競り合いはあるし、なんかあれだよね、と思っていたところに末娘が結婚するという。 宗教違いはきついから神さまー、と思っていたらカトリックだったので少し安心したものの、おうちに現れたのはアフリカン(コートジボワール)の彼でした... と。

ほんとうに平均的な、引退して郊外に家があって割と裕福で、政治的にはやや右寄りで、平穏な日々を送れればそれで十分、という老夫婦に降りかかった災難 - とは口が裂けても言えないちょっとした引っ掛かり。 そういう家庭できちんとがんばって育てて/育てられた娘たちなのだし、きほん愛とリスペクトがあれば - もちろん自分たちにはある、という自信はあるし、それでやってきたのだし - 乗り越えられるに決まっているのだが、でもなんかやっぱりほら、相手次第ってこともあるかもしれないし、相手の家族とのつきあいだってあるし、今の3人の婿とのあれこれだってあるに決まってるし、簡単とはいえないよね。 でもやっぱり…

みたいに誰のためだか、なんのためだか、延々まわり続ける迷いとか問いとかの隙間とか合間とかでちょこちょこ暴発を続ける泣き笑いの連鎖とそのバランスが見事だった。 異文化間ギャップを誇張してくどくどした笑いに落とすことも、和解とかみんなの幸せとか家族の連帯を大旗ふって強要するところにも向かわない。 最後にはみんな気遣いしすぎてぐったりしすぎて、互いに目を合わせてつい笑っちゃう、みたいな軽さとやさしさが嫌味なく機能していて素敵で。

巷に溢れている(ように見える。本屋の棚とか見ると)国際結婚したらこんなんなったみたいな自慢本(日本人すばらしい本もおなじね)がつまんなくて醜悪(読まなくたってわかるわ)なのは、そこで語られるギャップって自分の育った家族のそれを無反省に(or自虐的に)反芻しているだけで、そんなことしてなにが楽しいんだろう? だからなのよね。

この映画は力点をその辺りには置かずに、家族ってなんなのでしょう?  家族はなにをもって家族となる/呼べるのでしょう? とか、異文化を認めたり、そのギャップを超えることなんてゴールでもなんでもない、まずは相手を愛することでしょ? といったことを、きちんと語ろうとしていて、これをフランス、フランス人だからさ、で片付けてしまうのはほんとうにもったいないことだ。

なんでこんなふつーによい映画が単館でしかやっていないのか、ほんと内向きでしょうもない国だとおもった。

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