10.23.2015

[log] October 18 2015

NYからの帰りの便で見た映画とか。

あんまし見たいのがなくて、新しいのだと、闘犬モノか修道女モノか、の選択になって修道女のほうにした。

Marie Heurtin (2014)
『奇跡のひと マリーとマルグリット』- 英語題は"Marie's Story"。もう公開済のやつだったのね。

19世紀、フランスの実話だって。 生まれつき三重苦のまま野生児のように育ったマリー (Ariana Rivoire)に両親も手を焼いて、聾唖の娘たちがいる修道院に連れてくるのだが、最初から大暴れして連れ帰される。でもマリーに触れてそこに聖なるなにかを感じた修道女のマルグリット(Isabelle Carré)は反対を押し切って彼女を引き取り、面倒をみはじめる。最初の半年くらいは暴れる逃げる暴れる追っかける暴れる連れ戻すの繰り返しで、マリーにとってもマルグリットにとっても痛ましいことばかりで胸が痛くなるのだが、最初の言葉(ナイフ)を覚えてからはするすると社会化していって、他方でもともと肺を病んでいたマルグリットはだんだん衰弱していって。

あんなに乱暴だったマリーが誰よりも早くマルグリットの死を理解して受け入れた、ていうところが印象に残った。
それってマリーの境遇がそうさせたのか、あるいはマルグリットの慈愛が先回りしたものだったのか、とか。

あとは、どうしようかーと思って、"In Her Shoes" (2005) をまた見る。これ、飛行機で何回も見ているのだが。

切っても切れない姉妹、切れてしまった家族 - でもやっぱり切れていなかった - を描いた傑作だとおもう。
成瀬の映画を見ているときのような何とも言えない切なさがやってくるの。

Cameronがマイアミのケア施設で目が見えなくなった寝たきりの大学教授に詩を朗読するところが大好きで。
Elizabeth Bishopの"One Art" - “The art of losing isn’t hard to master …”  とか、最後に出てくるE. E. Cummingsの “i carry your heart with me (i carry it in my heart) …”とか。

あと、” Love & Mercy” (2014) を、もういっかい。辛いところを飛ばして、スタジオのところと、Atticus Rossの音がすごいところをヘッドホンでがんがん。 そうやって聴くと音の密閉感、改めてすごいなあ、と。 映画のほうは、部屋の映画だなあ、って改めて。


いっこ書くのを忘れていた、前回LAからの戻りのときに見たやつ。

The Age of Adaline (2015)
SFにひとりで犬と暮らし、図書館で仕事をしているAdaline (Blake Lively)は、今から100年くらい前、29歳のときに自動車事故で池に浸かった状態で雷に打たれて痺れて、それからなぜか年を取らなくなってしまった。 なので娘はもうとっくにおばあさんになっているし、自分は名前を変え住所を変え、恋人も友達も作らないようにひとりひっそりと生きてきた。 のだがある日仕事で知り合ったEllis (Michiel Huisman)がなかなか情熱的なので負けてつきあいだして、やがて彼の家族のとこに泊まりにいったら、そこで現れた彼の父親はかつてヨーロッパでつきあっていた恋人William (Harrison Ford)のなれの果てだった ...  彼はおろおろうろたえて、彼女はなんとかごまかして取り繕うのだがそれでもやっぱり動揺して。

あたしったら同じ犬種のわんわんを代々ずっと飼っているのとおなじように同じ家族の父親と息子を両方...  (ぷぷっ)とかやってはいけなくて、一緒に悩んだりうろたえたりしてあげるべきなんだろうか。でも誰もわるくないんだし、これもなにかの縁じゃのう、てからから笑って堂々とつきあってみてはどうか、とか。

ホラーとか超常現象モノと呼ぶにはあまりにナチュラル(決着のつけかたも...  そう、偶然よねきっと)だし、純愛モノと呼ぶにはあまりにLet it beだし、そういう状態であっても(そういう状態だからか)人は悩むし迷うんだねえ、とか。

でもあの結末、なんかつまんないよね。

Blake Livelyさんは、あまり巧い演技ができるひとではないと思うのだが、この役に関してはそれがうまく働いていたかもしれない。うまいなーと思ったのはHarrison Fordで義父としてふるまうべきなのかEx-としてふるまうべきなのか、でぐるぐるするところで、Richard Gereだとこうはいかないねえ、とか思った。
この映画、この設定でHarrison Fordの視点から描いたほうが、サイコホラーにもコメディにもなっておもしろくなったのではないかしら。

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