出張の前に見ていたやつらに戻る。 相当むりな気がするができるだけ突っこんでみる。
4日の日曜の昼間、終わっちゃいそうだったので少し慌てて新宿でみました。
ちと恥ずかしい邦題の「1600キロ」は、1000マイルのことで、そんなに律儀に変換しなくたって。
山登りの途中でへろへろになったCheryl (Reese Witherspoon)が靴を脱ぐと血まめがぐっちゃり潰れたようなひどいありさまで、ふうって溜息ついたら靴が谷底に転がっていっちゃって、ふざけんじゃねえよくそったれー、てひとり絶叫するところが冒頭で、そんな無茶で乱暴なトレイルの行程が、彼女はなんでこんなことをしているのか/はじめたのか、の回想と共にじぐざぐ描かれる。
監督は”Dallas Buyers Club” (2013)(そうかダラスだったか)のJean-Marc Valléeで、これも実話 - それまで無節操無軌道な暮らしをしていた奴が、死(自分の/母親の)とかに直面して突然がむしゃらな情熱でもって変なことを始める - の行方を追っている。
山登りも野山歩きもやったことのない彼女がなんで突然そんなやけくそを始めたのか、彼女自身にもあんまよくわかっていなくて、それ故に適当に途中でやめるようなことができなくなってしまう。大好きだった母の病と死、なにもできなかった自分に対する怒りや葛藤、自分探し、とか言うのは簡単だけどそれなら引き籠って本でも読んでいればよいわけで、じゃあ彼女が探していたのは何で、それは結局みつかったのか見つからなかったのか、どこにあったのかしら。
森で出会った男の子がきょとんとした表情で”Red River Valley"を歌ってくれるところ、それに続く彼女の後ろ姿、ここで全てがはらはらと決壊して、ここはずるいよね、と少し思ったが、この映画はここだけ、これだけでじゅうぶんなの。
“Dallas Buyers Club”がMatthew McConaugheyの映画だったのと同じく、これはReese Witherspoonの映画 - 圧倒的な俳優の映画でもあって、そこではタレントとしての演技力以前のところの、目つきとか顔だちとか、そういうところに根差した何かが効いていて、Matthewが薬を求めてどこまでも飛んでいったのと同じように、Reeseは1000マイル歩いてみようとしたのだ、と、有無を言わせない。
彼女がPortlandにたどり着いたところで、Jerry Garciaの死に遭遇するエピソードがあって、それでこれは95年の話だったのか、とわかる。 90年代のお話しである、というのもなるほどなー、て納得した。
10.24.2015
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。