10.22.2015

[log] NYそのた2 - October 2015

こないだのNYの正味20時間滞在の、食べ物かんけいのあれこれ。

15日の晩9時にラガーディアに降りたって、タクシーでホテルに行って、部屋に入ったのが9:30くらい。
機内食はがまんして食べなかった。 アメリカンのビジネスは温ためたナッツが(90年代からずっと)出てくるのだが、それをつまんだだけで、がまんしてた。なので、割とお腹へって、かつ久々のNYでわなわなした状態で再びタクシー捕まえてどこかに食べにいこう、と。

Mission Chinese Food
むかし、Orchard Streetにあったときの、ぼろいチンドン屋みたいにケバく煤けた店内と電撃としか言いようのない変てこな中華(?)料理の数々、その記憶はなかなか抜けなくて、無くなったと聞いたときは残念に思ったものだったが、復活したので喜んで行ってみたの。予約不可の店だけど遅い時間であればだいじょうぶであろう、と。

新しい場所はLESの更に奥の奥 - E. Broadway くらいまで入ったなかなかディープなエリアで、10時でも十分混みあっていた。
デコールは前よりはやや洗練されたかんじ、だけど基本はわざとひと時代前の悪趣味なガラの悪さを追求しているふう。
メニュー数は少し減ったかも、釜が入ったのでピザができるんだよ! と嬉しそうに言ってくるので、あんた中華でしょ… てふつうにつっこむ。

つきだしで「羽根つき餃子タピオカ入り」、みたいのが出てきて、ぜんぜんふつうにおいしい。なんだこれ。
その次の「四川ふう野菜のピクルス」がぜんぜん四川してなかったり(あれ、なんだったんだろふつうのお新香だよね)、とか、高低・強弱の激しさも変わんないかんじ。
その次の「蕪ケーキの揚げ出し - 抹茶ミルク出汁かけ」 - 揚げ出し豆腐の中身が緩めに練った蕪で、出汁が白緑なのを除けばふつうに全然和食で、(しつこいけど)だからなんなのよこれ? なのだがおいしいんだから文句言わない、言えない。
それから、外見ごくふつうの麻婆豆腐。 山椒のぶちまけ方が尋常ではなくて口内がぱちぱちと火山みたいになる。 マンハッタン・チャイニーズにおける麻婆豆腐のそれなりの経緯と歴史(五粮液、とか)、というのがあって、それらの流れのなかで見てみると割とわかりやすいお皿かも。
それから、New York MagazineのBest of NY 2015でBest Fried Chickenに選ばれていた"Koji Fried Chicken"。
"Koji"ていうのは人の名前ではなく塩麹のことね、たぶん。 鶏の白身のでっかい塊を揚げて輪切りにしてあって、でもその肉はとってもふにゃふにゃと柔らかい。 これってUSの鶏(肉)がぶりぶりごっついから成立しているお皿かも。日本のから揚げの、ほんとうにすごいのだったら勝てるかも。 これはこれでじゅうぶんおいしいんだけどね。
あとは、Salt-cod Fried Rice - 塩鱈炒飯 - 爆裂麻婆豆腐に続けて頬張ると雪のようにあまく柔らかく棘を覆ってくれる。

もう少しあれこれ食べてみないと何とも言えないかもだけど、でも試してみる価値はある。
NYに死ぬほど転がっているハイプでモダンな、なんちゃって中華(+和食)とも、おいしけりゃいいじゃん、的なやっつけでもない、一線を画するなにか - 実はものすごく地道に真面目に食材の組合せとかオーケストレーションを考えているかんじがしてならないの。

The Smith  (バンド名じゃないの)
16日のランチ、仕事の会食で2ndの51stのお店(他に2店あるらし)に行った。
食べたのはロブスターロールとか、ムール貝とかだったのだが、これまでとってもプアだったMidtown EastのDiningをほんの少しでも変えてくれる可能性がひょっとしたら。

Prune
NYでひと晩だけディナーを食べる、ということになったとき、どこを選ぶのか、というのはいっつも切実な問題で、ものすごくとんがったパワーレストラン行くか、とかいう選択もあると思うのだが、自分の場合はいつも結局トラディショナルなアメリカン(自分にとっての、ね)、みたいなところに落ちつくことが多い。 たとえばBlue Hill、とか。
Pruneは、ブランチでは何度か行っていたのだが実はディナーはなくて、それで今回行ってみた。 おそるべし、だった。

予約は9時半、McNally Jacksonで本雑誌買って、そのあと、Houston沿いのUnion Marketで会社の人へのおみあげとか買って、本屋袋 x 2、レコード袋、食料品袋、いろんな袋をばさばさ抱えた恥ずかしい状態でなかにはいったの。

なに食べたって笑っちゃうくらいおいしい。
胸腺のフライにしてもひらひらパスタにしてもビーフリブにしても、デザートのプラムのローストにしても、ありえない。

例えば個々の素材に対するソース・ブイヨン・バターという軸、或はフレンチに対するイタリアンという軸、こういった線引きをぜんぶ曖昧に無効にしてしまう柔らかさとやさしい軽さがあって、あらゆる境界のまんなか辺でふわふわと舌に訴えかけてくるなにかと、目に見えている個々の素材があんま結びつかないの。 「おいしい」は言えるけど具体的になにが「おいしい」のかが見えなくて言えない - いいから黙ってろ、になる。 そういうお皿の上の具体的なものに結びつかない、純粋な歓びとしてのおいしさがなにをもたらすかというと、このまま永遠に満腹感を得られないのではないか、という恐怖にちかいなにかで、そんなのすらもいい、とにかく咀嚼しろ味わえ、になってしまうのだった。 

ひらひらパスタ - Pasta Kerchief with French ham, poached egg and toasted pine nuts のレシピ。

http://www.wnyc.org/story/282158-pasta-kerchief-poached-egg-french-ham-and-brown-butter

まったくおなじ皿の、Amanda Hesserさんによるレシピ。

http://cooking.nytimes.com/recipes/9361-pasta-kerchief-with-poached-egg-french-ham-and-brown-butter

時間があったら作る - 作りたくなるわこれ。


Sadelle's
出発の日(フライトは13時くらい)の朝食でいった。 普段は朝食なんて食べたことないのだが、今回滞在したところがUnion Squareの近所だったものだから、ついあれこれやってみたくはなるよ。

かの、Torrisi - CarboneのMajor Food Groupによるベーグル朝食屋。 
で、↓みたいな記事を見たら行きたくならないほうがおかしいというもの。

http://www.bonappetit.com/restaurants-travel/article/sadelles-design


とっても久々に行った気がするSOHO界隈、ここの場所はむかし(90年代)、Guessのリネン類のブチックだったことを思いだす。(通りの反対側にはRizzoriのSOHO店があった)

土曜日の開店は朝8時で、8時丁度に入ったら、まだ早かったせいかメニューでサーブする方式ではなく、カウンターで頼んでピックアップしてテーブルで食べるやりかただった。

オーダーは、ベーグルの種類(プレーン、セサミ、ポピーシード、エブリシング、などなど)を選んで、挟む魚の種類(Cured Salmon, Smokes Salmon, Sturgeon, Sable)を選んで、クリームチーズ(プレーンかチャイブ入りか)を選んで、トッピングの野菜(ケイパーとかトマトとか)を選んで、ベーグルを焼くかそのままか、を選んで完了。 たのしい。ちょっと高いけど。
で、ブツは厚めの紙で包まれてぱっくりまんなかで二等分されて出てくる。

ばかみたいにおいしい。 ベーグルサンド、ここまでやればこんなにもすごくなる。

自分は、そもそも日本にはちゃんとしたベーグルがない(水がちがうしふにゃふにゃすぎ)、ちゃんとしたスモークサーモンがない(脂分なさすぎ、しょっぱすぎ)、ちゃんとしたクリームチーズがない(糊か)、などなどえんえん訴え続けている哀れな原理主義者なので、こういうのを食べちゃうとますますなあ、て思った。

インテリアもユニフォームもとっても素敵(Wes Andersonは言い過ぎかも)で、もちろんRuss & Daughters Cafeのライバルにはなるだろう。 フロアのまんなかにガラスで囲われた湯気のでている一帯があったのであれなに? て聞いたらベーグルのオーヴンだって。  そういうメカが好きなひともGO !

この後で地下鉄で戻って、Union SquareのGreen Marketを見てまわる。 一時期は毎週のように通っていた。 何年ぶりだろうか。

レイアウトは若干変わったけど、出ているお店は余り変わっていないかも。
帰りたくない感満ち満ち、というのもあるのだが、溜息しか出ない。 野菜ぶっとさでっかさ層の分厚さ、なにもかもぜんぜんちがうよね、
で、ここの夏の終わりから秋にかけてのお楽しみというとブドウ屋さんのブドウジュースで、赤と白両方買って飲んだ。
ブドウの種類は数週間かけて変わっていくのだが、当たるのに当たると(たまにすっぱいのあったりする)、地獄のようにおいしくて、そこらのブドウジュースは飲めなくなる。
あーこれこれ、だった。

飲んだり食べたりしたあれこれは、以上。

あと、16日の晩のUnion Market。

ここはWhole FoodsともTrader Joe'sとも違って、あんま自社ブランドばんざい、でもないし、お店の広さもコンパクトだし、なんといってもBakedのクッキーとブラウニーを入手できる。

あと、米国にくるたび、なにげに探していたやつをめっけた。

http://www.redgoldtomatoes.com/what's-new/sriracha

こんなボトルを買ってしまった以上、空港では荷物をチェックインせざるを得なくなって、一緒に突っこんだ本雑誌で冗談みたいに膨らんで重くなって、インスペクションで開けられていた。 まあ怪しむよね。

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