10.10.2015

[theatre] Frankenstein

16日の水曜日の晩、National Theatre Liveの上映があったので池袋に行って、見ました。
なんで池袋でしかやらないのかよくわかんないのだが、フランケンシュタインだから?

監督・演出はDanny Boyle、音楽はUnderworld。舞台そのものの上演は2011年。
原作はもちろん、Mary Shelleyだがもう読んだのは随分むかしのことなのでほぼ憶えていない。

主演のふたり、Benedict CumberbatchとJonny Lee Millerがフランケンシュタイン博士と怪物を交互に演じていて、見た回はBenedict Cumberbatchが怪物のバージョン。 彼が博士のは昼間の回でやっていて、両方見るほどでもない気がしたし、彼、どっちかと言えば怪物よね、程度。

なんか膜のようなものの向こうから怪物がぬるりと生まれ出て、じたばたどたどたもがき苦しんでやがて2本脚で立ちあがって歩き始める。 ここまでが白塗り舞踏系、コンテンポラリーダンスふうの結構長いソロで、Cumberbatchの馬みたいな容姿もこれはこれで見事に均整とれているのねえ、とか思う。

怪物はやがて農家の盲目のおじいさんと出会って言葉を覚えて、やがてそこも追われて、いろいろな人たちと会っては畏れられ蹴飛ばされながら、すごいスピードでヒトの知性を身につけ、たどたどしかった言葉は雄弁になり、でも化け物は化け物としか認知されず、ようやく自分を作ったフランケンシュタインのところに辿り着いても拒絶されて結局 …

90年代中頃、Danny BoyleとかUnderworldあたりが生み出したボールドで野蛮で煙草とクスリ臭い、所謂”Brit”として括られるようなイメージがなーんか苦手なので、そういうのと原作のゴシック・ホラー・クラシックなかんじが、どこでどう折り合うのかしら、と思っていたら、なーんだ、ヴィクトリア朝とかスチームパンクとか、そういう方向なのね、なのだった。(わかりやす)

でも、だからといってストーリーや思想として圧巻の重みや深みを見せるかというとそんなでもなくて、結局残ったのは博士と怪物の(俳優の)突出した存在感のみ、つぎはぎ(→ 怪物)のイメージを並べていった程度だったかも。 カメラも真上からの俯瞰とか斜め横とか、ダイナミックなようで舞台なんだからもうちょっと落ち着けば、とか。

でもでも、怪物と博士がまばゆく光る原野の向こうに走り出していくエンディングは、原作とはたぶん相当、ぜんぜんちがうけど、その力強さはなんか悪くなかったの。


帰りは有楽町線で、くたくただったが気がついたら桜田門の駅だったのでそこで降りてデモに行って11時過ぎまでいた。荒んだ気分にはBritだよねえ。

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