10.09.2013

[film] They Live by Night (1948)

5日の夕方6時、"Inside Llewyn Davis"のあと、おなじNYFFの"Revivals"ていう枠で上映されたNicholas Rayのデビュー作。 これだけは日本から前売り買っていった。
これの後に"The Lusty Men"もあったがこちらはざんねんながら。

この裏、まったく同じ時間に"The Secret Life of Walter Mitty"のワールドプレミアをやっていて、Stand-byのありえない行列ができていたが、やはりこっちでしょう。

WarnerとFilm Foundation、Nicholas Ray Foundationがリストレーションしたもの。

この「夜の人々」は、最初に三百人劇場で見て、そのあと有楽町でも見て、NYに来てからもFilm Forumで2〜3回は見て、そのたびにびーびー泣いている。 絶対に泣く絶対の映画で、わたしは「この映画を見て泣かないやつは人間じゃない」という言葉ゆえにトリュフォーが好きで、彼を信じている。

最近公開された"We Can't Go Home Again (1973)"からNicholas Rayに入ったひとがこれを見たらどう思うんだろ、というのに少し興味があった。
のだが、冒頭のスピーチでSusan Rayさんが84年(だった、たしか)にAlan LomaxがNicholas Rayと共同作業をした際に残したというメモを読みあげる。アメリカの田舎に入りこんで、そこに暮らす人々のあいだで語られる言葉、音楽、冗談、などを拾いあげて正しく紹介する仕事の必要性、重要さに触れたあとで、Nicholas Rayが最後にやろうとしていた"We Can't Go Home Again"もそういうことだったのです、と言って、ここですべてが繋がった。

映画の冒頭、幸せそうに向いあって横たわるBowieとKeechieに被さる字幕;
"This boy and This girl were never properly introduced to the world we live in."

これのすぐ後の、映画史上最初のヘリ空撮シーンばかりが話題になりがちだが、ここのとこで全ては宣言されていたのだった。

これまでのバージョンの粗くささくれだった白黒もよかったが、リストア版は全体に画面がしっとり濡れたようになっていて、ふたりがバスを降りてインスタントウェディングに向かうシーンの生々しさとか、ラスト、ふたりの頬をつたう涙もしっかりと映っていてすばらしいんだよ。

Bowie (Farley Granger)もKeechie (Cathy O'Donnell)も奇跡としか言いようのない輝きを見せる。

筋なんて書いたら泣いちゃうので書きませんけど、日本でももう一度上映されますように。
恋人が病気になったり死んじゃったり秘密があったり、そんなので泣かされてばかりのかわいそーな日本の若者たちに是非見てもらいたい。

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