10.09.2013

[talk] Noah Baumbach and Greta Gerwig

6日の土曜日の晩、Walter Readeで"They Live by Night"を見たあと、次の"The Lusty Man" (1952)はパスして、8時過ぎに23rdの西のほう、The New Yorker Festivalの会場に行った。  10時開始のこのイベントのStand-byに並ぼうと思ったのだが、列はそんなたいしたことなくて、9時に当日券がでてそれを持って別の列に並ぶ。 チケットは$40。

New Yorker Festivalは数年ぶりで、毎年見たいのはそれなりにあって、今年もそうで、これの他にももうじき公開される(の?)Bergdorf Goodmanのドキュメンタリーに出てきたPersonal Shopperのおばあちゃんに Lena Dunhamが話を聞く"Betty Knows Best"(チケット$200でStand-byなし...)とか、いっぱいあって、同じシアターの隣の部屋ではMichelle Williamsが出ていたし、NYFFの3時からの"Inside Llewyn Davis"の裏ではTavi Gavinsonが出ていたり、とにかく大変なんだってば。

Noah Baumbachは"The Squid and the Whale" (2005)のプロモーションのときに結構見ていて(よく憶えているのはLaura Linneyさんとの対話で、ブルックリンの離婚した中流家庭で青少年時代を過ごした80年代についてやたら共感していたこと)、でも生Greta Gerwigさんは見たことなかったし。 鶴(?)のプリントのロングドレスがかっこよくて、きれいだねえ。あたりまえだけど。
客席は圧倒的に女の子が多い。やはり。

出てきたはなしを箇条書きでだらだら書きます。

最初は"Frances Ha"のプロモーションで訪れたスウェーデンでIngmar Bergmanの持っている小島に行った話から始まって、船とか車をいっぱい乗り継いで行くよくわかんないところにあるその島には、"Persona" (1966)に出てきた浜辺があって、家にはVHSが山のようにあって、すごかった、と。 あと、"Fanny and Alexander" (1982)の男の子(もう大人で子供もいて、役者はやっていないんだって)に会って感激して泣いちゃったとか。 「ファニーとアレクサンデル」、好きそうだよねー彼。

ふたりの共作である“Frances Ha”は、最初にGretaさんが落書きのようにFrancesにこんなことがあった、あんなことを言った/言われた、とかいうのをNoahさんにちょこちょこメールして、彼がそれをまとめたりつないだり彼女に送り返して、それがやがてひとりの女の子の、ひとつの物語に組みあがって、そうしているうちにふたりは恋におちた、と。 なんてすてきな。
で、最初にあった個々のエピソードはいけてない女の子がどんづまるダークなトーンだったのに、ふたりでそういうふうにまとめてみたらコメディふうになっていた、と。

クリップでは、"Frances Ha"のFrancesがChina Townを"Modern Love"にのって疾走するシーンに続けて、Claire Denisの"Beau travail" (1999)のラスト, "Rhythem of the Night"に合わせてダンスをするDenis Lavantが流れて、とにかくDenis Lavantはすごすぎるよね、と全員で合意した。

"Frances Ha"との比較を少しということで、"Jules et Jim" (1961)のオープニングも流れた。

あと、Robert Altmanの"The Long Goodbye"(1973)のオープニングと"Greenberg"のBen StillerがGreta Gerwigの家に行ってビールを飲むとこが対比される。 ロスという場所の特性をよく現わしているシーンとして。 そこから、同じようにNYをあらわしているクリップとしてMartin Scorseseの"After Hours" (1985)でGriffin Dunne がタクシーに乗ってて$20札を飛ばされちゃうシーンが流れる。 Noah曰く、"Desperately Seeking Susan"(1985)と"After Hours"の2本によって80年代のブルックリンの子はマンハッタンがいかにおっかない場所か、というイメージを植え付けられたのだ、と。 (この2本て、80年代の千葉にいた子にも同様に効いたんだよ!)

あと、LCD Soundsystemの"New York, I Love You but You're Bringing Me Down"に深く感銘をうけたNoahが"Greenberg"のサントラを依頼して仲良くなって作ったという“All My Friends”のクリップも流れた。

"Frances Ha"を書いているときGretaさんが参考にしつつ読んでいたのがJoseph Conradの短編"The Shadow Line"。 どっちの主人公も27歳だし、とのこと。 そのうち読んでみる。

終わりの客席とのQ&AではとにかくFrancesに自分自身をIdentifyしてしまう、という女子(男子までも)が続いておもしろかったが、そういう質問に身振り手振り、あちこちつっかえたりぶつかったりしながら懸命に答えようとするGretaさんは、Francesそのものでおもしろかったのだが、そのなかで、なんで映画でもTVでもあんなに恋愛ばっかし、恋におちたとか失恋したとか取りあげるのか、それがそんなに特別で大事なことのように語られるのか、ていう話になって、彼女が"That’s not good enough!" - 気にくわないんだよ! て大きな声で言って、みんなが拍手した。

Gretaさんは自身の監督作を準備しているそうで、期待したい。 Noahさんの進行中のプロジェクト“Motherfucking Times Square” - 「だいっきらいなんだよあの場所」だって - にも期待したい。

"Greenberg"も"Lola Versus"も"This is 40"もぜんぶDVDスルーにして屑みたいな邦題つけて喜んでて頭のなかに藁と糞が詰まっているとしか思えない配給業者の方々には一切なんも期待しない、中指をつきたてるしかないが、とにかく、"Frances Ha"が日本で公開されないことには話にならないのね。

約90分、終わってシアターの外にでたら開いている隣のシアターの扉のむこうにMichelle Williamsさんが少しだけ見えて、おー、だった。女優としてのオーラはこっちのが。

シアターの外ではスポンサーのハーゲンダッツがタダでアイスクリームを配っていたのだが、微妙にあったかいようなさむいような微妙な陽気だったので貰わなかった。


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