ちぎっては投げ、で書いていかないと、ぜんぜんじかんが。
5日の土曜日、美術館をうろうろしたあとで、3:15から見る。 NYFFでは既に2回目くらいの上映なので当日券が買えた。 でも挨拶ゲストはなし。
9/29にTown Hallで、この映画を掘りさげるべく、"ANOTHER DAY, ANOTHER TIME: CELEBRATING THE MUSIC OF “INSIDE LLEWYN DAVIS”"ていうコンサートがあって、映画のなかの曲を映画に出てきた人たちが歌うだけでなく、以下のような方々が代わる代わる出てきて60年代初の音楽をやったりした、らしい。(チケット、とれるわけないや)
The Avett Brothers, Joan Baez, Rhiannon Giddens of the Carolina Chocolate Drops, Lake Street Dive, Colin Meloy of The Decemberists, The Milk Carton Kids, Marcus Mumford, Conor Oberst, Punch Brothers, Dave Rawlings Machine, The Secret Sisters, Patti Smith, Gillian Welch, Willie Watson, and Jack White...
音楽全体のプロデュースはT-Bone Burnett、音楽助監督がMarcus Mumford (Carey Mulliganのだんなね)
Ethan & Joel Coenの新作。 61年のグリニッジ・ヴィレッジのフォークシーン。 カフェで歌ったりスタジオに行ったりしつつも、既成曲やトラッドを歌う寄席の余興芸としてのフォークではなく、自作曲を歌うSSWとして立ちあがろうとする Llewyn Davis (Oscar Isaac)の苦闘の日々を描く。
Coen兄弟の世界であるが、今回は犯罪も殺しもサスペンスもない。 変人はいっぱい出てくるけど。 ほのぼのとしたおかしさが全面にただよう。
みごとな音楽映画であると同時にたまんない猫映画でもあって、不思議の国よろしく猫に翻弄されたLlewyn Davisが自身の内面への旅を強いられて呆然としたり歯ぎしりしたり、そうしているうちに外側の世界が内側になだれこんでくる、そんな内容の映画でもある。
Dave Van Ronkのメモワールをベースにしていて、当時のフォークシンガーの根城だったGaslight Cafeも出てくるが、そんな時代劇要素よりどちらかというと冬の街の寒さとかシカゴへの道中の不気味な暗さとかそっちのほうが沁みてきて、そこにギターの弦のきりきりした響きが重なってくる。
髪をのばしてほとんどすっぴんで出てくるCarey Mulliganさんがとても生々しくて、歌を歌うとこもよいのね。 "Shame" (2011)の歌うとこを思いだした。
あと、主演のOscar Issacが実にみごとで、勝ちも負けもない、悩んだり戦ったりしてもしょうがない世の中にたったひとりで立って、歌って、ギターを弾く。
そしてJohn Goodmanの、例によってわけのわかんないかんじ。 全員が"…"になってしまうすごさ。
かんじとしては、Wim Wendersの"Don't Come Knocking" (2005)なんかにも近いかも。 あれもT-Bone Burnettだったけど。 音楽が必要とされている世界、音楽を必要としている人々のいた時代がすばらしい音楽と共にやってくる。
そしてラスト、あの男の登場によって転がりはじめたなにかはあったのかなかったのか。
しかし当時のグリニッジ・ヴィレッジとか、地下鉄とかどうやって再現したんだろ。 セットなのかなあ。
これ、Coen兄弟がフィルムで撮影する最後の作品になるのだそうな。
10.09.2013
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