13日の日曜日の午後2時、MOMAで見ました。
短い「お休み」の2日目、すばらしい秋晴れの日で、そんな日にこんな映画もまた。
邦題は『10番街の殺人』。
MOMAで毎年開催される修復フィルムお披露目祭り - "To Save and Project: The 11th MoMA International Festival of Film Preservation"、今年のゲストセレクション担当はNYFFで"Nebraska"が好評だったAlexander PayneさんとChantal Akermanさんで、この映画も9日の上映時にはAlexander Payneさんが紹介していた。
ロンドンの実録犯罪モノ。 タイトルは犯行現場の住所で、撮影もそこで行われたと。
1942年、Christie (Richard Attenborough)が自宅を尋ねてきた女性にガスを吸わせて首を締め、屍体を裏庭に捨てる描写があり、次が44年、彼と妻が住む部屋の上に部屋を間借りしたいとTimothy Evans (John Hurt) とその妻、幼子がやってくる。
Timは貧しくて読み書きもできないから仕事も大変で、でも妻が身籠ってしまって生活どうするの?で夫婦喧嘩も絶えなくて、そこにChristieが相談に乗りましょうか医療の心得もありますし、と声をかけてくるの。
Christieはでぶではげでメガネで、しゅーしゅー言いながらゆっくり囁くように喋るのが不気味で怖くて、Timはぎすぎす落ちつかない、すぐ頭に血が上るロンドン子で、やがてTimはChristieにはめられて脅されて、冤罪で首吊りになってしまう。
ロンドンのくすんだ建物の壁の色、室内の色、空の灰色、全体の色感はどこまでも暗くしけてて(リストアされたフィルムの見事なこと)、そこに畳みかけるように陰湿で救いようのない事件がずるずると垂れ流されて、誰もどうすることもできない悲惨さをカメラは緩慢な動きの単調さで追い続ける。 Christieが捕まるまでの7年間、呪われた館とその裏庭はほんとに、ただそこにあったという恐ろしさ。
はっきりとカツラとわかるRichard Attenboroughの決して狂気を見せない故の怖さ、がりがりの、すれっからしのパンクJohn Hurtのぎすぎすしたきつさと、どちらもこびりついて抜けない。
あまりの救われなさに見終わったあと、誰もが"So creepy…"と肩を落としてつぶきながら場外に出たのだった。
それにしても、Richard Fleischerはこれのあとに"The Last Run" (1971)を撮っているのね。
最強だねえ。
10.20.2013
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