12.28.2010

[film] Congress Dances (1931)

Boetticherの映像にびりびり痺れてから、外に出て吹雪のなか行軍してさらに痺れる(冷たくてさ)。
無理しないで留まって「大いなる西部」でも見ておけばよかったのに、こっちの(MOMAのワイマール映画特集ね)チケットを貰ってしまっていたばっかしに。

だってこないだの"Early to Bed"で、この時期のドイツのラブコメおそるべし、とおもったので。
『会議は踊る』 - Der Kongress Tanzt 

ええ、これもすんばらしいラブコメ、の亜種、でしたわ。

MOMAのシアター内はどうやってここまでやってきたのか、ウィーン会議の頃から生き延びてきた(わけないけど)ようなお年寄りばっかし。
雪に埋もれて死にたいのか? せめてこれを見てから、とかいうのか?

ナポレオン・ボナパルト失脚後のヨーロッパをどこがどう統治していくのか、を決めようとしている1814年のウィーン会議、の裏ではこんなことが・・・  

国際会議なんてこの頃からろくなもんじゃなかったのね、というのもあるが、それよか、このころから、こんなにあっけらかんと楽しいオペレッタが許されていたのかー、というのにも驚く。(上映の2年後、ヒトラーによって上映禁止となったらしいが)

ロシアの皇帝と町の手袋屋の娘の一瞬燃えてはかなかった恋のおはなし。

会議の主宰者の宰相は、会議をうまく運びたいので秘書を使ってあれこれ画策しようとするのだが、秘書はこの手袋屋の娘が好きでうじうじしてて、皇帝側は皇帝側で替え玉(刺繍が趣味なの)をうまくつかって、適当に遊んだりはぐらかしたりしようとしてて、まあ、そんな駆け引きあれこれで、会議も、会議の外も、踊るわけさ。

手袋屋の町娘をやったLilian Harveyが、すんばらしくよい。
恋して夢見る乙女の挙動、手つき腰つき足のふりを全身で、漫画みたいにパーフェクトに決めまくる。
笑って泣いて意地はって、酔っぱらって歌って、だって相手は皇帝なんだもの、と突進あるのみ。
そう、まちがいなく、Kirsten Dunst の御先祖さんはこいつだ。

彼女が皇帝のVillaに招かれて馬車に揺られていくシークエンスは、夢のようにすごい。
歌があり踊りがあり、それにあわせて道はゆっくりとうねってとてつもない大名行列をつくる。

カメラはCarl Hoffmann、音楽は"Early to Bed"とおなじWerner R. Heymann、てこのひと、ルビッチの代表作の音楽ほとんどやってるのね。

これでハッピーエンドだったら、と誰もが思うにちがいないが、映画の主役はあくまで踊る会議さんだったので、しょうがない。 でもこれのおかげで、だから国際会議なんてくそくらえなんだ、と民衆の脳裏には恨みに近いかたちで擦りこまれてしまったにちがいないから、これはこれでよしとしよう。

いちばん前の席で音楽にあわせて楽しそうに首と指揮棒をふっていた小柄なおばあさんは、無事帰れたのかなあ。

写真はMOMAの中庭にいるピカソやぎ。 本日(12/27)のご様子。

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