12.07.2010

[film] Four Friends (1981)

8:45から、Arthur Pennの81年作"Four Friends"を見ました。
Pennは"The Missouri Breaks"の次にこれを撮っている。

ユーゴスラビアからアメリカの鉄鋼の街に移民としてやってきたDaniloとその3人の仲間の61年から始まる青春時代ドラマ。 脚本のSteve Tesichの、ほぼ実体験に基づいているらしい思い入れたっぷりの物語。

4人ていうのは文系のDaniloと体育会系のTomとでぶはげのDavidと3人のミューズでイザドラ・ダンカンを信奉するGeorgia(いそうねーこういうやや太めのおねえさん)で、いろいろ色恋も含めぐしゃぐしゃになったりするものの、エピソード自体は時代の流れも含めてさくさく走っていく。

これはとってもよかった。

もともとこういう青春ものは好きだし、全体に湿っぽくないし、あの時代、あの仲間を賛美するようなべたっと甘いものにはなっていない。 あのとき、あの場所で起こったこと、を淡々と並べていくような構成で、その結果として、例えば、アメリカの地方都市の、移民コミュニティの60年代、あの時代に移民の子として生きるということはどうだったのか、みたいなひとつの像が浮かびあがる。

おもしろいのはこれが81年に作られた61年の物語だ、ということね。

あの時代に60年代を回顧する、というのは反動以外のなにものでもなかったの。 ノスタルジアなんて屑だ糞だ、と思っていた。 "Deer Hunter"(1979)ですら、あれはあれで大好きだけど、そういう匂いをかんじとってけっ、とか思ったのだった。 当時の日本の高校生ですらそうおもったのだから、米国での反応を考えると相当Controversialな、あるいは微妙に無視せざるを得ないような、そういう半端なものになってしまったのではないか、と。

でも、だれもが自分の時代だの、自分の仲間達だのを暗黙に肯定賛美するようになってしまった今となっては(ほんと居心地わるいしきもちわるいねえ)、この映画のあえてそこに留まった、ようなところは清々しく新鮮に思えた。
例えば、いま80年代を描くとしたら、"Hot Tub Time Machine"にあったようなある種の照れとか、或いはTim Kasherが"There Must Be Something I've Lost"で歌ったような呻きにも似たいらだちでしか表現できない。 当時、なんも考えず、なんも残そうと思っていなかったから。

だからね、ある種の羨ましさと共に彼らのじたばたを見ていたわけです。
ほんとにくさいところ(泣いちまったぜ)は幾つかあるにせよ、彼ら4人は映画のなかのあの時代にほんとに生きているようだったから。

Georgiaを演じたJodi Thelenさんは、あんまうまくないけど、Anne Hathawayさんにちょっとだけ似てる。
彼女がさいごのほうでDaniloと大喧嘩して、「もう若いふりすんのはうんざりなんだようー」てびーびー泣くとことか、いかった。

あと、ふと思ったのは、アメリカで”Quadrophenia” (1979)みたいな物語は可能だったのかなあ、て。

あるのかしらね?  なんとなくないような気がすこし。

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