3月3日、火曜日の晩、Royal Court Theatreのupstairsのシアター(全席自由)で見ました。
これ、2月25日のチケットを取っていたのだが、前日くらいに出演者が怪我をしたのでこの日の上演はなくなって、払い戻しするか別の日に振り替えるかどっちがいい? と聞いてきて、振り替えたい候補日をメールで送ったらこの日のチケットがきたの。
原作は詩人でもあるJack Nichollsの劇作デビューで、Royal Courtの公募作のなかから選ばれたもの、演出はAneesha SrinivasanとDavid Byrne(あのDavid Byrne氏とは同姓同名)の共同。約1時間40分で休憩なし。
場内は洞窟の中らしい赤暗い照明で、舞台奥の上の方には出入り口らしい穴が開いていて、大きな音ではないが「ジンギスカン」のディスコの音楽が流れていて、ちょっといかれたダンスフロアのように見えなくもない。
紀元前数万年前、先史・原始時代のやがて英国になると思われる土地に暮らしていた原始人たちのお話しで、「はじめ人間ギャートルズ」の世界で毛皮を羽織っていたりするのだが、主人公たちの名前はClareとかGregとか現代人のそれで、喋る英語もスラングみたいのも含めて今の英語(たぶん)だったりする。
考古学的な考証は横に置いて、自然と人工の配分とか、ムラとか家族とか近くのヒトとか恋愛とか、そういう現代の我々の前提とか縛り、目線から離れてフリーハンドでいろいろ好き勝手に思い描いて、それでも今のしがらみとかはどうしてもくっついてくるだろうから、言葉とか名前だけは現代のをコラージュのようにぶつけてみる、とどんなふうになるのか、という実験?
最初に登場人物らしき人がひとり、少しおどおどしつつ現れて、「このお話はBased on a True Storyである、と思うよ」 とか言う。そうでしょうとも。
それからいきなり3人の人形遣いに操作されたバカでかいヘラジカのパペットが現れて(ぶんぶん振り回されるツノだけでもすごい)、そいつを前にClare (Jacoba Williams)とGreg (Jonny Khan)が出会って、少し強くて狡猾そうなClareはヘラジカを倒して、無邪気でおしゃべりなGregはもうじき酷い気候になるから南に行くべきとか、ふたりの会話は噛み合っているのかいないのか、そこだけ切り取るとSNLやモンティパイソンのスケッチみたいなコメディネタの掛けあいなのだが、いきなりClareはGregを殺しちゃって(客席の笑いが凍りつく)、カチ割った頭から脳みそを食べたりするの。
後半、Gregの首をぶら下げて洞窟の家に戻ったClareを無邪気な妹のLisa (Annabel Smith)と病弱な父 (Peter Clements)が迎えて、今度は原始時代のシットコムみたいな家族ドラマが繰り広げられ、そこにGregの妻Danielle (Ami Tredrea)と歩き始めたばかりくらいの赤ん坊パペット(2人で操作して1人は赤ん坊の声も。ちょっとホラーに出てくるベイビーぽい)が現れて、Gregを見なかったか?って聞いてきて…
人間を動物の習性や挙動から隔てて「人間」にしたものはなんだったのか? 最初の方でClareがGregに何度も執拗に聞かせてほしいと請う”Story”のこと、そして自分たちとは異なる「あいつら」的に語られる”Shitheads”のこと、これらが明確な意図をもって彼らの間で使われ始めた時、あらゆるギャグは停止して殺戮が始まる、と。そしてこの温度差をどちら側からどう見るか、が今の我々に問われていることなのではないか – など、真面目に考えることもできる。
あと、折角ここまで作ったのなら、イギリス人 - ブリトン人がなんでこんなんなって、こんなままなのか、まで掘り下げてみてもよかったのではないか、とか。
送り出しでも「ジンギスカン」がじゃんじゃん流れて、しばらく頭の後ろで鳴っていた。ジンギスカン食べたくなった。
3.13.2026
[theatre] The Shitheads
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