3月11日、水曜日の晩、Park Theatreの大きい方(PARK 200)で見ました。
間違えやすいのかもしれないが、アガサ・クリスティの有名なのは”The Mousetrap” (1952) - 『ねずみとり』で、ジャンルとかぜんぜん別のだから。
原作はNoël Cowardで、彼が1918年、18歳の時に書いた最初期の劇で、でも初演は1926年。これを書きあげて劇作家としてやっていく自信がついたそうだが、18歳でこんなの書くのか…
結婚にまつわるコメディ - タイトルも、テーマとしてもコメディになりうるようなものかと思ったのだが、あまりそんなかんじはしなくて、多くの人がイプセンやストリンドベリの結婚ドラマに言及している。
罠にはまった/かかった!のを発見した瞬間はおおってなるけど、その後の始末とか決着の面倒くささ、しんどさ..に全員が結婚てなんなのさ.. って凍りついた表情のまま考え込んでしまう、ような。
翻案はBill Rosenfield、演出はKirsty Patrick Ward。演じるのはRSCで見た”The Forsyte Saga Parts 1 and 2”を作った演劇集団Troupe。
新進作家のSheila (Lily Nichol)がルームメイトのOlive(Gina Bramhill)と話をしていて、彼女が劇作家のKeld(Ewan Miller)と婚約した話を聞くと複雑で、KeldよりもSheilaのほうが遥かに才能ありと見ているので、結婚によって彼女の才能がスポイルされてしまうのではないか、と危惧していて、でもSheilaとKeldが一緒にいるところを見る限り、とても溌剌として幸せそうで心配いらないように見えたのだが。
でも休憩後、Oliveの危惧は見事に当たり、既に結婚しているふたりの表情と態度には明らかな疲れと苛立ちと嫌悪軽蔑が見てとれて、自分のプライドが先でとにかくすることぜんぶ褒めたり慰めたりしてほしいKeldと、あんたのママでもないのになんでそんなのに付きあわなきゃならんのか、のSheilaはぶつかって、彼女の方の執筆は止まってしまい、罠にかかった2匹のネズミ(→タイトル)のように口を開けば喧嘩ばかりになって、Keldと新進女優Ruby (Zoe Goriely)の噂を聞いたSheilaは家を出て行ってしまう。
最後はSheilaとOliveがいるところに、有名になったせいもあるのか一段と天狗の嫌なやつになったKeldが現れてよりを戻してほしい、と頼んでくる。ひととおりのやりとりの間、表情を固くして、あなたを前とおなじように愛することはできない、と繰り返すSheilaだったが最後の最後で彼のところに戻る、と。理由は妊娠してしまったから、それだけで、それでもあなたとの関係を修復するつもりは一切ないから、って。 そこであっさりぽつっと終わるの。
キャラクターたちはそれぞれ出来あがってはいるものの、劇中のやりとりだけではやや画一的、表面的で生きているかんじがあまりしないあたりが「初期作」の所以なのかと思うし、結末についても、自分の頭でそれなりに補正 - ここは自分を殺して子供を生かすためにそうするしかないのか、とか、Keldにとってはこの後の日々がぜんぶ地獄になるな、とか思えるのだが、底で渦を巻いている(のが見える)憎悪が、最後っ屁のようなかたちで痛快に何かに向かって飛んでいくようなことはなかった。
結婚は相手の才能や機会を潰すこと、潰して平気でいられること、結婚するまでのときめきや楽しさは絶対に続かない、こういったことを18歳の若者が深くないとは言え見据えて劇作にしようとしていた、ってやっぱりすごいな。そういえば”The Forsyte Saga”も結婚における「所有」を巡るドラマだったような。
3.19.2026
[theatre] The Rat Trap
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