28日、土曜日の晩、The O2 Arenaで見ました。
クラクフから戻ってフラットに着いたのが16時半くらいだったので余裕。アウシュビッツを見た後のしんどさとか、もう少しあると思っていたが、そんなでもなかった。覚悟していたからだろうか。
この人のライブは初来日の横浜の時から数えて何回めくらいになるのか、最後に見たのは2018年のLondon Palladium で、いつの間にか、なんとなく、なにがなんでも行く! の対象からは離れてしまっていた気がする。
その理由はいろいろあって、あんま深く考えたくないかんじだったなー、となっていたのはなんでだったのか、について考えさせてくれるようなライブだった(ライブの度にそんなことばかり考えてて楽しいの? って自分でも思うがうるせえよ、って)。
Morrisseyがレコードを出して貰えない、創作活動を十分にすることができなくて焦って腐って悶々としている、というのはずっと聞いていて、彼がそうやって周囲に毒を吐くのはいつものことのように思えたし、であれば「大丈夫」に違いない、とか。でも大丈夫とかそういうことでもなさそうで。いや、わかんないな、ってぐだぐだ考えが右に左に揺れまくった。
The Smithsという、もはや恐竜のように巨大な遺産と認知されているバンドのフロントにいた彼なので、ソロになってそれなりのキャリアを重ねていったにしても歳をとったりなんだりで自分の思うような活動をできず/させてもらえず壁にぶち当たって… なんてあの世界ではごく普通のことのようにも思えるのだが、彼にとってはそういうことではないのだ。曲を書いてライブで歌うという音楽活動は自身の生死を賭けたすべてであったのだ。
The O2のあるNorth Greenwichの駅は、アリーナのライブがある時は告知用のホワイトボードにそのアーティストの曲名や歌詞をびっちり散りばめた「案内」?を出してくれるのだが今回はさすがにハードルが高かったのか過去のNoel Gallagherのをそのまま置いていた。残念。
19:30くらいに客電が落ちて通常の時間であればサポートアクトになるのだが、Morrissey を「サポート」する度胸のある若い子なんていないので、Morrissey のお気に入りのアイコンとそれに合わせた曲(あるいはその逆)をじゃんじゃか掛けてくれて楽しい。それは過去、The Smithsが12inchのレコードジャケットでやっていたことと地続きの極めて教育的ななにか、でもあるの。
20:40くらいに客電が落ちて、マラカスを持って出てくるなりForeignerの”I Want to Know What Love is”のあの一節を、まあ今こんなことを世界の中心で吠えてやってサマになるひとなんていないよ。この曲で吠える人もいないだろうが。
バンドはおそらく若返っていて(終わりの方でメンバー紹介と自己紹介もあった)、アレンジもわかりやすいエレクトロが入ったりキーボードのソロもあったり、がんばっているようだったがそういうことではなくて、モルヒネを打ってそれが切れるまで、本当にそれくらいいっぱいいっぱいで大変なんだ - 助けてほしい - ってずっと、このギャングでパンクで落ちぶれて崖っぷちの老人が呻き続けている。
新譜のリリースを巡るごたごたのなか、尊大なアーティスト・エゴがどうの、という以前のところで、この人は最初のバンドの頃からずっと毒を呑んで吐いて悶絶して絶望して生死を賭けるようなところで歌を書いて歌ってきた。それがすべてで、それが十分にできない、というのは死ね、と言われているのに等しいのだ。 100文字程度で、誰もが言いたいことを好きなようにいくらでも吐きだすことができるようになった今(Make-up is a Lie)、彼のような態度や挙動がきちんと理解されない、ちゃんと通用しない、というのがあるにしても、じゃあどうしろと言うのか – というのが冒頭の叫びに繋がっていたし、“A Rush and a Push and the Land is Ours”~”Now My Heart is Full”の流れは本当に感動的に響いた。(ここでもし“Last Night I Dreamt…”までやってくれたら泣いちゃったと思う)
ただ他方で、昔のスタンダードばかり求めてくる客ばかり、という残酷な事実もあって、すんなり爽快に楽しませてくれない。The Smithsを聴いて育ったビリオネアのなかで、恩返しもかねて彼にお金をだしてきちんとしたアレンジと演奏で新譜も含めてセンスよく賄ってくれるような人はいないのか、金持ちはThe Smithsなんて聴く必要はなかったのか、とか。
この先どうなっていくのか誰にもわからないし、知りようがない、この人はそういう前人未踏の領域に首を突っこもうとしているのだ。 どうせ先にあるのはダブルデッカーバスだし、ってあの曲を最初に聞いた時の感覚が蘇ってしまったので、これがよいことなのかどうなのかはわかんないけど、いまだに蘇ってくるものがあるので、よいライブだったと思う。
あああと3週間を切ってしまった。どうしよう…
(ぜんぶあきらめろ)
3.10.2026
[music] Morrissey
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