こないだのNYの続きの残りの。
今回の旅の目的は音楽ライブ3つだったので、美術館などは行けたら程度だったのだが、書いていなかったのを少しだけ。
行きの機内で見た映画は2本。
Freud's Last Session (2023)
Mark St. Germainによる同名戯曲を映画化したもの。
第二次大戦が始まった直後のロンドン、闘病中のいろんな苦痛に苦しむSigmund Freud (Anthony Hopkins)のところにC. S. Lewis(Matthew Goode)が訪ねて来て神や神話について議論を重ねる、というところにオーストリアへのナチス侵攻に関わるFreudの回想、Lewisの第一次大戦時のトラウマや、レスビアンであるFreudの娘の話が絡んでいくお話しで、FreudとLewisのふたりが直接会った記録はない(推測)らしく、会ったらこんな対話をしたのでは、というところがちょっと弱くて、これなら本で読みたいかなー、くらい。最近のAnthony Hopkinsって死にかけのおじいちゃん役ばかりよね。
Miller's Girl (2024)
機内のガイドには”comedy”ってあったのにほぼホラーみたいなこわいやつだった。血はとばないけど。
Jenna Ortegaがテネシーの豪邸で独り暮らしをする家の娘で文学に浸かっている高校3年生で、Martin Freemanは本を出版したこともあるクリエイティブ・ライティングの教師で、彼女の文学の才能に驚いてYaleに入学するためのエッセイ執筆に向けて仲良くなっていくのだが、彼女が友人にそそのかれてエロ小説を書いて彼に送ったことからいろいろ巻きこんだ騒動になっていく話で、そんなのJenna Ortegaが勝つに決まっているので、なんかMartinがかわいそうになってしまうのだった。文学の先生ならナボコフ読んでいれば防げたかもしれないのにね。
今回の旅は後から追加で1泊入れたりしたので最初はブルックリンの宿で、次の2泊でマンハッタンに移動して、ちょっとばたばたであまり回れなかった。以下、見た順で。
ICP at 50From the Collection, 1845–2019
1974年に設立されたICP (International Center of Photography)の50周年記念展示。
David Seidner Fragments, 1977–99
同じくICPで、70~80年代のファッション写真のかっこよさ。Tina Chowの肖像とか素敵ったら。
ICPの後、金曜の午後にはPark Avenue Armoryでやっていた
64th Annual New York ABAA International Antiquarian Book Fair
ロンドンでも行ったことあるBook Fairだったが、並んでいる古書の価格が最低でも$1000くらいから、店先に並んでいる安めのでも$600とか、べつにお買い物に来たわけではないのでいろいろ見て回るだけ。ウィトゲンシュタインが1911年に取得した特許「航空機に適用されるプロペラの改良」の原本などが$25000とか。
ロンドンで入ったことのある古本屋もいくつか出店していたが、ここにも買える値段のものはなくてとんでもないわーと思っていたら肩を叩かれて、振り返るとThe Second ShelfのAllisonさんだった。 ロンドンに戻った、というと、じゃあまたね! って。あなたから買った沢山の本たちはつい先週、船便で戻ってきたところですよ。
Giants: Art from the Dean Collection of Swizz Beatz and Alicia Keys
6日の土曜日の午前、桜がきれいだったBrooklyn Museumで。
コレクターとしてのSwizz Beatz and Alicia Keys夫妻がそのコレクションと、これもコレクションなのかBang & Olufsenのすごくよい音のオーディオ。コレクションは素朴系からバスキアからでっかいオブジェからいろいろ、やはりGordon Parksの写真たちのなんともいえない桑原甲子雄のかんじとか。
土曜日の午後は地下鉄で上にいってNeue Galerie NYから。
Klimt Landscapes
Klimtの風景画を集めた展示。実物ではなく複製のも結構あった。
緑の点々が敷きつめられたものが多く、美しいし見ていて飽きないのだが、やっぱり変態がやることっぽいよね、と。 カタログは想定以上にでっかく重かったので次回にする。
そこからMetropolitan Museum of Artに。これまでいろんな人がパニックになっていた入口の券売機はなくなって窓口かモバイルかになっていた。入場料、$30ですってよ。
The Art of the Literary Poster: Works from the Leonard A. Lauder Collection
1890年代のアメリカに登場した、本を読みましょう、みたいなカラーのポスターいろいろ。猫と女性の揃いが絵になるって発見されたのはこの頃からなのかしら?
Indian Skies: The Howard Hodgkin Collection of Indian Court Painting
Howard Hodgkin (1932–2017)の抽象画は大好きなのだが、この人がこんなコレクションをしていたとは。いろんな象さんを描いた絵が沢山あってたまらず、Hodgkinの抽象にある輪郭などを思った。
The Harlem Renaissance and Transatlantic Modernism
1920年代から40年代にかけてのGreat MigrationによりNYのハーレムではどんな形で文化やコミュニティがつくられ、形となっていったのか、を当時の絵画、彫刻、写真などから多角的に追う。プライベートなのからダイナミックなのから、ものすごくよい絵がいっぱいある、見応えのある展示だった。半日いてよいくらい。
アフリカン・アメリカンの側だけでなく、ヨーロピアンであるマティスやピカソやムンクの絵も並置されて、そのインパクトを示していた。
Hidden Faces: Covered Portraits of the Renaissance
ルネサンスの肖像画で、側面とか蝶番とか箱の中とか、いろんな仕掛けによって隠された「肖像」のありかを追う。解説見ないとぜったいわからない。 こないだプラド美術館で見た”Reversos”の展示にも似ているが、あれよりも巧妙かつ陰険な香りがたまんない。画家はHans MemlingとかLucas Cranachとか、いかにもーな奴ら。
お食事系はかつてのPruneのような「いつもの」がなくなってしまった悲しみはまだ続いている(ほんとにかなしい)のだが、Roman’sとか、Estelaとか、朝ごはんでBakeriとか。Korean Townの賑わいにはびっくりだった。
今回、始めのほうがWilliamsburgだったので久々にあの辺を散策したのだが、もう随分変わってしまってびっくりだった(遊んでいたのって10年以上前だしな..)。90年代の終わり、SOHOにフェラガモやシャネルが出来てみるみるつまんなくなっていったのと同じ道をすでに辿っているなー。でもどこかの誰かにとってはすばらしい町になっているのだろう(か)。
かつて猫がいた本屋のSpoonbill & Sugartown Booksはまだがんばっていたので何冊か買った。
本は、以前ほどでっかいのは買わなくなったかも。英国にもある/ありそうだから、で選別したり(よいこ)。
そして、土曜日の夕方18:30にJFKを発って、朝の6:30にヒースローに着いて、地下鉄でお家に戻って、荷物置いて着替えて会社行った。この時間帯のにはもう二度と乗らない。
4.16.2024
[log] New York April 2024
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。