4月12日、金曜日の晩、CurzonのAldgateで見ました。邦題は『猿男』になるの?
主演のDev Patelの監督デビューで、ストーリーを書いて共同脚本、制作にも関わっていて、制作には
Jordan Peeleの名前もある。B級アクションとして2時間を超えるのはちょっとしんどいのだが、テンションが途切れることはない。
舞台は現代インドのYanataという架空の都市で、村に暮らす子が母に半猿の神Hanuman - 孫悟空のモデルといわれる - の話を何度も聞かされたり読んだり幸せな日々を送っていたのに土地を手に入れようとする町の教祖的な指導者Baba Shakti (Makarand Deshpande)とその手下の腹黒警察署長Rana (Sikandar Kher)に村を焼き討ちされ、母は子供を匿ってRanaに殺され、子供の掌には母を救おうとした時に負った火傷の跡が残っている。
成長した子(Dev Patel) - Kidsって呼ばれてる - は、闇のファイトクラブで、猿のお面を被ったファイターとして生計を立てていて、でもそんなに強くはなくてぼこぼこにされたりしている。
そういうことをしながら、Ranaへの復讐の機会を探るべく彼が出入りする高級売春宿にバーテンダーとして雇われて中に入り、そこで働くギャングの下っぱを味方にしたりしながら階段、ではなくエレベーターを上っていって、ついに対決することになって。
でもそこからtuk-tukで逃げる時に瀕死の重傷を負った彼はヒジュラのコミュニティに助けられて匿われて、そこでよくわかんない薬を嗅いで謎の特訓を受けるととてつもなく強くなって、かつてのファイトクラブでは無敵で、とうとう頂上に立つBabaと対決する、という復讐までの道のりの一段一段と、そこには常に子供の頃の母との思い出と守護神であるHanumanが傍にいるのだった、と。
昔からありそうな敵討ちのお話しが軸で、でも舞台は新興めざましく発展途上で、新しいの旧いのがだんだらごちゃごちゃのインドの都市で、でもカーストや差別のありようは変わっていなくて、ここにこうして伝説の猿の神も絡みヒジュラの人達の蜂起もあって、でも主人公はスリムなスーツに猿の覆面 - 要は聖と俗と新と旧を入り混じらせたなんでもありで、カンフーでもタイの格闘技でも武器の方もなんでもありで – ただ銃器はあまり使わない – 同じ復讐ものでもJohn Wickみたいにスタイリッシュなのにはどうあがいてもなれず、結果“The Raid” (2011)のような泥臭くねちっこい肉弾戦に向かわざるを得ないのだった… というか。
Dev Patel自身のキャリアが”Slumdog Millionaire” (2008)から”The Best Exotic Marigold Hotel” (2011)から“The Personal History of David Copperfield” (2019) - のDavid Copperfield から”The Green Knight” (2021) - のGawain から、なんかめちゃくちゃ雑多で多様で、この流れに猿のお面を被った復讐鬼、を置いてもなんの違和感もなくて、次は虎でも象でもなんでもよいのでは、になる。いや、なんでもよいというよりは、一匹の細い猿が傷だらけになって生きていく様を描くのに(かつてどこかで見た気がする辺りも含めて)ものすごくよい絵になっている、とは思った。そういうところで生きたいか(生き残りたいと思うか)どうかは別として。
最初から無敵ではなくて、何度もやられては立ちあがり、最後に謎の同胞や謎の薬、という辺りもわかりやすいのかも。ただ痛そうなところはどこをどう見たって痛そうなので、痛いの(痛めつけられるの)がだめで嫌な人にはきついかも - 最近そういうのがしんどくなってきた。 修行(なんの?)だと思えばよいのかなあ。
続編はないかもだけどシリーズにして、いろんな動物の神を揃えてAvengersか、彼をモダン版の孫悟空にして西遊記みたいのをやるか、RRRみたいな大風呂敷路線に向かうか。それか『燃え上がる女性記者たち』(2021)の新聞社に彼が入社するとか…
最後にStonesの”Monkey Man”が流れてくれたらなー、と思ったけどやはりそれはなかった。
4.19.2024
[film] Monkey Man (2024)
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