4.11.2024

[film] The Greatest Hits (2024)

4月6日、土曜日の晩、Times Squareのシネコン – AMC25で見ました。

The Magnetic Fieldsのライブが終わったのが22:22くらいで、映画の開始は22:30で、映画館は歩いて5分くらいのところなのでぜんぜん余裕。土曜日晩のTimes Squareのど真ん中、久々に歩いたけどぎんぎらすごいねえ。

少しライブの余韻などに浸ったほうが… というのはもっともなのだが、そもそもそんな時間があったらなあ、だし最後の晩だし、見れるものを見れるときに見ていくしかないの。

作・監督は”The Disappearance of Eleanor Rigby” (2014)のNed Benson、先月のSXSWでプレミアされて、12日からHuluで配信される前の先行上映。Rom-comではないようだったが音楽(SF?)映画みたいだから、くらい。
アメリカのシネコンの、うざいCMなしで予告だけをがんがん流していくの、いいよねえ。

近しい人を亡くした人たちのセラピーセッションに出てもぼーっとしてしまうHarriet (Lucy Boynton)は恋人のMax (David Corenswet)を同乗していた車の事故で失って、いまだにその喪失感から立ち直れない状態なのだが、自宅に戻るとレコードをかけて、実験のようなことをしている。

ある曲(or レコード)をプレイヤーでかけてヘッドフォンで没入すると、その曲をMaxと一緒に聞いていた幸せだった場所と時間にスリップして、その時の自分に乗りうつれることを発見して、片っ端からレコード棚のレコードをかけて聴いて、「テスト済」とか「失敗」とかせっせと仕分けをしている。

それで何をしたいかというと、Maxと出会ったところ – 野外のフェスで踊っている時にMaxが寄ってきて誘われた - まで時を遡って、彼と会わなかったし誘いにものらなかったことにすれば、彼は事故で死ななくてもすむはずだから、というもの。

曲が体に入ってくると自動で過去にスリップしてしまうので、外出先ではヘッドフォンをして外の音を聞かないようにするし、勤め先は静かな図書館にしているし、彼女があまりにそれに真剣に没入してばかりなので友人たちは心配し始めている。

そんな時、セラピーセッションの場でDavid (Justin H. Min)と出会って、彼女も少しづつ変わり始めるのだが…

えーと(いろいろ言いたいことはある)。
音楽と記憶はものすごくきっちり絡みあうもので、ここにあるようにある曲がどこか別の場所に連れていってくれる、というのはよくわかる。だから音楽をいつでもどこでもずっと聴いてきたのだし、でもだからといって音楽をそのための乗り物みたいな道具にしちゃうのはどうか、っていつも思うのよ。はっぱ吸ってトリップしている人とか見ても。音楽にはそういうパワーがある、というのとそれを使ってなんか別の(例えば)快楽にひたる、は別にしたいな、って。 (注:政治的なメッセージや抗議に使うのはよいの。音楽、というより、アートはそもそもそういうものだから)

あと、HarrietがなんでそんなにMaxに死んでほしくないのか、Maxのどこがそんなに魅力的なのか、思い出の中でもう少しきちんと描かれていたら、そうだねえ、って泣きたくなるのに。それに彼が本当に素敵な人だったら自分と一緒にいた記憶をずっと抱きしめていたい、とも思うのではないかしら? でもHarrietは自分と会わなかったことにしたい – そこから始まる彼との思い出も(彼が連れてきたであろう友人らとの出会いも)全て無くなっちゃって、無かったことにしてよい、と。ここから、ひょっとしたらMaxは優しいときは最高だけどDVの傾向もあってHarrietは嫌になりかけていたのではないか、とか思ってしまったり。

新しく登場したDavidにしても、どうして彼ならよいと言えるのか、また同じことになってしまうのでは? – など、考えてもしょうがないことだとは言え。

”The Disappearance of Eleanor Rigby”でも”Her”, “Him”, “They”の3つのバージョンを用意して、はじめから整合しているとは思えない「ラブストーリー」(のようなもの)を作っていたので、この監督のひねくれた志向なのかもしれない。この設定だけ使って、どたばたコメディにしてしまった方がおもしろくなったのでは、とか。

音楽はいろんなのが流れるのだが、そんなに”The Greatest Hits”ぽいゴージャスなかんじがしないのは残念かも – これも狙ったのか? 最後の方で唐突にでてくるRoxy Musicのライブ、あれは一体なんなのか。

Lucy Boyntonはもちろんよいのだが、David役のJustin H. Minの透明なかんじがまた素敵で、彼、”After Yang”(2021)のYangだったのね - Davidって、その中身はYangだったのでは..?


映画が終わったら0時を回っていて、地下鉄のホームに人がぐっちゃりいて、ぜんぜん電車こなくて、ああこのかんじ.. ロンドンのとはまた違って懐かしいったら。そしてホテルに着いたら丁度SNLが終わるところで、これもまた既視感たっぷりので、あーあ、って…

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