4.02.2024

[film] The Persian Version (2023)

3月23日、土曜日の午後、CurzonのAldgateで見ました。 日本でももうじき公開される。 昨年のサンダンスで観客賞などを獲って、同年の東京国際映画祭でも上映された作品。

作・監督のMaryam Keshavarzが自分と自身の家族を題材にしたアメリカ映画で、冒頭に、”TRUE STORY - A Sort Of …” って出る。

イランから移民してきた家族の一員で、NYでインディペンデントで映画を撮っているLeila (Layla Mohammadi) はハロウィンパーティーの一夜のどんちゃん騒ぎでHedwigの舞台に出ていたアメリカ人の男優 (Tom Byrne)と寝ちゃって妊娠してしまう。それまで彼女には同性のパートナーがいて別れたばかりの不安定で自分でも何やってるの? のぐちゃぐちゃで、更には彼女の父のAli (Bijan Daneshmand) は心臓の病で倒れ、心臓移植のドナーが現れないと助かりそうになくて、親戚兄弟(8人兄妹におばあちゃん)が病院に一堂に集まってきてそんな騒がしい状態のなか、そういう状態だからこそか、自身の幼かった頃の記憶も絡めて、なんで一家がアメリカに来てこんなことになっているのか、母Shireen (Niousha Noor)やおばあちゃんに聞いてみる、と…

若い頃、将来を約束され希望に燃える若い医師だったAli (Shervin Alenabi) と、親の決めてきた結婚で一緒になったShireen (Kamand Shafieisabet) は、医師のいない砂漠地帯の開業医として赴任して慌しい日々を送り、じきに男の子が生まれ、次の子も身篭って、その間Aliはずっと忙しいまま家にいなくて … という話と、一家がNYに来たばかりの頃、お金がぜんぜんないし英語もわかんないしでShireenは不動産屋になるべく家事の傍ら猛勉強を始めて事業を成功させていく話があり、いまのLeilaにはもちろん自分のお腹のなかの子をどうするのか、どうしていくのか問題もあり、あれやこれや山積みの問題をせわしなく言いあったり怒鳴りあったり積みあげたりしながらどうにか渡っていく - これがペルシアン・バージョン - うちらのやり方で他にどんなバージョンがあるのか知らんが、ようく見とけ、って。

ずっと過去と現在の、父母と自分に起こったことをランダムに行ったり戻ったり繋いだり忙しなくて、これ、どこに持っていってどう決着つけるのだろう? … と思い始めた頃、最後の数分で唐突に天空から落っことしてくれて、ぶわっと一瞬で泣かされて、これかー、って。 あんなのずるいわ。

過去から続いているイランとアメリカの関係の難しさ、そこに起因した生き難さとか面倒さ、更にはイラン(だけではないが)でずっと続いている男系社会の理不尽が背後にあるのかも知れない、いや間違いなくあるのだが、それでも、そんなでもこんなふうにやれるんだ、やってます、という力強い花火になっていると思った。 Leilaもママもおばあちゃんも、みんな本当に素敵だ。(パパは割とどうでもよいらしく、心臓の件もどこに行ったんだか忘れられてしまう)

最初と最後に老若男女が勢揃いして盆踊りするCyndi Lauperの”Girls Just Want To Have Fun" (1983)の「これでいいのだ」満載の泣きたくなるようなすばらしさ。この曲を聞くたびCyndi Lauperにはノーベル平和賞をあげるべきだ、って強く思う。

このお話、これはこれでよいけど、でもやっぱり差別とかはだめだから。あたりまえに。いうまでもなく。

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