12月17日、日曜日の晩、109シネマズ二子玉川のIMAXレーザーで見ました。
邦題は『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』。
原作はRoald Dahl、監督は”Paddington” (2014)シリーズのPaul King。 Tim Burton - Johnny Deppによる2005年版 - 成長したWonkaのは当時バカらしい、って思って見なかったのだった。
今回もTimothée ChalametのSNLの件があったのでふざけんな、だったのだがディズニーのあんなのよりはまし、とか思ったりしつつ。どっちもだめだけど、てめーら言ってることとやってることが違うだろ! 子供らを騙すんじゃねえよ! ってきちんと落としておくためにも。
冒頭、船の上のWonka (Timothée Chalamet)が身支度をして船員たちに見送られ、不思議な帽子と鞄に夢を詰めてイギリス.. ではないどこかで見たヨーロッパぽい陸地にあがる。ポジティブでお人好しで、何かを信じていて前途洋々向かうところ敵なし、大きなショッピングアーケードでぶちあげたる! ってお天道様に向かって吠える。
そうしながら極めて軽く簡単に騙されて邪悪なMrs Scrubbit (Olivia Colman)と下男のBleacher (Tom Davis)の安宿に幽閉されてしまうと、そこの地下には法外な借金を背負い込まされたNoodle (Calah Lane)をはじめとした同様の囚われ人たち5人がいて洗濯工場の奴隷仕事をさせられている。
でも自分には自分の作ったチョコをみんなに広めて幸せになって貰いたいというショコラティエとしての夢があるし、それをやるにはまず店を出さねば - けど新規参入を阻止する3人のチョコレート・カルテルがそこの市場を独占していて、Wonkaのチョコを食べてみるとこんなのに入ってこられたらやばいぞ、って両者の抗争が拗れていく。
優しかったママ(Sally Hawkins)の夢を抱え、魔法のチョコ(のレシピと素材)と共に世界を幸せにするはずだったWonkaとでこぼこの仲間たち vs. カルテル & 警察(Keegan-Michael Key) & カトリック教会(Rowan Atkinson)という地下に築かれた大人組織による悪の帝国(ややMinionsのあれっぽい)、という構図は、ちょうどPaddingtonが描いてみせたご近所 vs. ちっちゃめの悪者達のそれをより生々しくばかばかしいスケールで敷衍している。どっちも子供の頃からのママの味である魔法の食べ物 - チョコレートとマーマレード - を軸に展開していくあたりも。
Wonkaのチョコを夜な夜な盗んでいく変な小人Oompa-Loompa (Hugh Grant)をつきとめたり、ママの味を再現するためにNoodleと一緒に夜の動物園に忍びこんでキリンのAbigailからミルクを貰ったり - ここのシーンが一番好きだったかも - ファンタジーのところは楽しいのだが、その反対側にいる大人たちが張り巡らす闇の世界がねちっこくて今の資本主義のシステムすぎて、そのギャップには賛否あるかも。
最後のほうは危機一髪救出作戦からそれでも島送り&爆破 〜 改めて危機一髪、更にはNoodleの出生の秘密までせわしなくてんこ盛りで、みんなを幸せにしたいのはわかるけど、それは果たしてチョコレートで可能となるのか? そこにくるのは果たしてチョコレートなのか? ってここまでやられると思ってしまったり。こんなに波瀾万丈大変になるならショコラティエ無理、って子供らは思っちゃわないだろうか。
広場でみんなを巻きこんだりしつつミュージカル的に展開していく音楽はどれも楽しくて、もうちょっとグリッターかつグラムに弾けてもよいかも(Jellyfishあたり?) と思ったのだが、Neil Hannonだったので文句はない。最後の曲はなかなかよかったし。
Oompa-Loompa - Hugh Grantはどうせなにをやってもおもしろくなる、って本人も思っているに違いないので、もっと好き放題やらせるべきだったし、Rowan Atkinsonとはもっとぐさぐさにやりあってほしかったのに(ここ、敵役をColin Firthにしてもよかったのにな)。 あと、すごく贅沢に最近の英国ドラマ - 映画のオールスターズを使っているわりには… って。
キリンのミルク、おいしいのかなあ? ラクダのミルクチョコはあったけど、あんなかんじ?
肝心のおいしいチョコレートの味がどんなのかがちっともイメージできない、っていうのもなあ…
日本でやるとしたら極上のあんこを軸に、下女の女の子 vs. 家父長制が前面に出るのだろうがそんなの想像しただけで辛すぎて洒落にならなくてぜったい誰も見にいかない。
みんなよいクリスマスを、って今年は言えないな…
12.23.2023
[film] Wonka (2023)
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