10月31日、日曜日の昼、投票に行った後に新宿ピカデリーで見ました。もう終わりそうだったので。
実話ベースで、主人公のひとりMatthew Teagueが2015年にEsquire誌に発表した記事 - “The Friend: Love Is Not a Big Enough Word”が原作、ということも、難病ものであることも見始めてから知った。
なぜ見たいと思ったかというとJason Segelが出ているから。それだけ。
冒頭、夫のMatthew (Casey Affleck)と妻のNicole (Dakota Johnson)がベッドの上で話をして、Nicloleは末期癌にある自分の容態とやってくる死について、もう子供たちに告げるべきだ、って彼ら - MollyとEvieのふたりの女の子 - を呼んで、Matthewが話をする。事前に絶対に言ってはいけないこと - ママは遠くに旅行に行くの - などは確認した上で。 子供たちが呼ばれると、やがて泣き声が聞こえてくる。
所謂「難病もの」はホラーと同じくらい苦手なジャンルで、その理由はホラーと同じように人が死んでしまうから。死んでしまうことでその人が今ともに生きているのとは別の世界に行ってしまうことに伴う悲しみや痛みは、「死」が決して解り得ないものであるがゆえにいくらでも底なしに「解ってほしいもの」としてグロテスクに - わかって貰えるよねこの悲しみと辛さ? - 描くことができてしまう。そんなの当事者以外に解るわけはないのに、解って貰えるであろうことを前提に話が進んでいく共感地獄のおそろしさ。
Matthewは売れない作家志望の記者で、Nicoleは劇団の女優で、映画は死期が近い現在とふたりが既に結婚している頃からNicoleの癌が進行して告知されて、のそれぞれの時間を行ったり来たりしながら進んでいく。
まずはNicoleとDane (Jason Segel)の出会った頃の話があり、NicoleはLed Zeppelinが絶対で最強だといい、DaneはMy Bloody ValentineやTravisの話をしてて、この時点からDaneは負けている。関係ないけど、Led Zeppelinを崇める人ってなんであんなに確信的につよいのだろう? とにかく、あまり大志も抱かず、女性にももてないし、スタンダップ・コメディをできればいいな、くらいに思っているDaneはふたりと一緒にいるようになり、Matthewがようやく掴んだ雑誌の仕事で海外 - 戦地とか - に行くようになると、彼らの家の家事や育児まわりを手伝うようになる。
一番だらしなくてしょうもないのはMatthewで、仕事だろうがなんだろうが関係なく家族のまんなかにいなきゃいけないに決まっているのにひとりで荒れてキレて被害者ヅラして最低なのだが、でもとにかく家の中とか近所にはDaneがいてくれて、自分は量販店でバイトとかをしながら、なにかと顔をだしたり住み込んだりして面倒を見てくれて、夫婦も子供たちも(悪いこと嫌なことをするわけではないので)いつもありがとう、ってなんとなく感謝してそのままに数年が過ぎていく。
他人からはいつもあの家にいる図体のでかい小間使いみたいな男はだれ? とか変な目で見る人もいるし、嫌味や中傷のようなことも言われて、彼も悩んで荒野を彷徨ってみたりもする - ここで出会う婦人とのエピソードがなんかよい - のだが、でもやっぱり彼らの家に戻ってくる。 なんで戻ってきたのかとか、その言い訳とか理由が映画のなかで語られることはない。
あんなに素敵だった妻でありママであるNicoleがなんで… という彼女の存在の灯がゆっくりと消えていくドラマではなく(それもあるけど)、家族の一員とは違うけど、近いところにずっとDaneがいてくれたことで救われたりケアされたりの何かがあった、それって家族にとってほんとうにかけがえのないなにかだったんだ、って。それが”The Friend” - 映画の別タイトルでもある - ていうもんだよね、っていうお話。
それだけのこと、そんなひといないわ、という人にはちっとも響かないやつかも知れないけど、世界にこういうひとはいるし、必要だし、ということは知っているし、わかるし、できればそうありたいな、って思う。 死について思いを巡らすことができるのは彼のようなひとがいるからこそ、ではないか。
こういう脇にいてじたばた奮闘する役をやらせた時、Jason Segelのでっかい図体ほどうまくはまる人はいないの。自分で脚本を書いて主演している“Forgetting Sarah Marshall” (2008)ですら、なんか脇にいるかんじが常にある不思議なひと。JAU (Judd Apatow Universe)でも同様。
ぜんぜん11月っぽくないよね。← ここにいろんな文句を集約させる。
11.07.2021
[film] Our Friend (2019)
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