9.30.2020

[film] La femme de l'aviateur (1981)

27日、日曜日の昼、MetrographのVirtualで見ました。

ここではÉric Rohmerの『友だちの恋人』(1987) - 『レネットとミラベル/四つの冒険』(1987) - 『飛行士の妻』の3本を束ねて上映していて – なんでこの3本なのか? - これだけまだ見ていなかった。喜劇と箴言シリーズの最初の作品。 
英語題は"The Aviator's Wife"。   あきれるくらいにおもしろいよ。

ここで参照される箴言は、"On ne saurait penser à rien" - "It is impossible to think about nothing".

郵便局で夜勤をしながら法律を勉強しているFrançois (Philippe Marlaud)が夜勤明けに元なのかまだ続いているのか続いていてほしいと思っているのかの恋人Ann (Marie Rivière)のアパートに立ち寄って、彼女が探していた排水管工のことで伝えたいことがあるからとメモを置きにいく。

しばらくすると今度はそこにぱりっとした恰好のChristian (Mathieu Carrière)が現れ、すぐに帰ろうとするのを寝ていたAnnが引き留めて、でもChristianがしたのはもうしばらくここには来れないという別れ話で、いやいやそんな… とかいいつつふたりでアパートを出るところをFrançoisが目撃してがーん、となったそのしばらく後にカフェでChristianと女性が一緒にいるのを見て、眠くてしょうがないけどバスに乗ったふたりを追いかけることにする。

そしたらバスに乗っていた学生のLucie (Anne-Laure Meury)に絡まれ、なんとなくふたりでふたりを尾行することになり、暇なふたりがChristianと一緒の女性は誰なのか? ~ 飛行士の妻じゃないのか? ~ なにしようとしているのか? ~ 離婚手続きじゃないの? ~ そんなのふたりで一緒にやらんだろ? ~  なんて謎解きごっこをしていくのと、Lucieは用事があるから抜けるけど、この先のこと教えてね、ってFrançoisに自分の住所を記したポストカードを渡す。

ここまででFrançois はへろへろになって、でもああいうのを見てしまった以上Annとは改めてケリをつけねばって彼女の部屋に向かって関係修復に向けた議論に挑むのだがかすりもしないで轟沈して、しょんぼりしてLucieに報告しようとしたら..

ひとにはそれぞれの生活があって愛に対する考えも態度も違って、それでも気になる相手の見かけの動きとか誰と一緒にいるかとか(を見る見ない)によって、ものすごく影響を受けて右往左往したり泣いたりあたしなにやってんだろ..  になってしまう。これをもっとシンプルな関係性のなかでオープンにしたのが『友だちの恋人』で、こういう傾向に対してNon ! って踏んばろうとしているのがレネットとミラベルの「冒険」なのではないか。というところでこの3本は繋げられるのかしら。
このへんやはり『緑の光線』や『満月の夜』とはちょっと違うかんじがするよね。

François役のPhilippe Marlaud って、Maurice Pialatの"Passe ton bac d'abord..."  (1979)  - “Graduate First” に出ていた人なのね。これもすごく好きな作品なんだけど、ぐだぐだなキャラクターがはまるところはあんま変わらないねえ。

あと、Annの複雑で一見わかりにくい性格を見事に体現したMarie Rivièreさんもすごいとしか言いようがない。


Quatre aventures de Reinette et Mirabelle (1987)

12日、土曜日の晩に見ました。英語題は”Four Adventures of Reinette and Mirabelle" -  『レネットとミラベル/四つの冒険』。

これはとにかくとっても大好きなやつで、公開されてすぐに見て、LDも買って、何年か前にBAMのCinematekでNew Printによるリバイバルがあったときも行った。まず、冒頭のチープなCGとピコピコ音楽(by Jean-Louis Valéro)がすばらしいの。いまどきあんなのやるのホン・サンスくらいしかいない。 

4つのエピソードがあって、その最初が"L'Heure Bleue / The Blue Hour"。
このエピソードで田舎に暮らすReinette (Joëlle Miquel)とパリジャンのMirabelle (Jessica Forde)が田舎道のまんなかで出会って、ReinetteはMirabelleに夜明けの、夜が朝に切り替わるとき、虫も鳥も鳴くのを止める15秒くらいの一瞬があってそれを”Blue Hour”っていうのだと教えて、ふたりで夜明けに起きて最初の日は失敗するけど二日目に体験することができるの。このエピソードで、ぼんやりとしてみえる薄青い時間でも実は境界を跨ぐ時間というのがあって、虫も鳥も尊重するのか畏れるのか息と動きをとめる - 世界にはそういう時間と場所がある、ということをふたりは知る。

こういったことを踏まえて、意地悪なカフェのギャルソンに、物乞いを装った詐欺師 (Marie Rivière)に、いいかげんな画商にふたりがぶつかっていく冒険、というか闘いが描かれる。なめてんじゃねえぞ、って。

ここには田舎(的ななにか)と都会(的ななにか)の衝突、というのもあって、その観点からすると『飛行士の妻』は間違いなく都会の話で、『友だちの恋人』は都会から少し離れた郊外の話、と見ることもできる。

これを見てから、Blue Hourの探求というのは個人的なテーマになっていて、眠れなくて変な時間に起きてしまって、外で鳥が鳴いている(なかなかやかましい)時には耳をすまして、今のそう?ちがう?とか頭の中でやっている。寝ぼけているだけ疑惑も多少はあるかもだけど、あれってあるのよ。

もう9月が行ってしまうねえー。

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