2.12.2020

[film] Carole Lombard: The Brightest Star -

BFのCarole Lombard特集は1月で終わりだったので、出張から戻った時にはもう毎日のように彼女の映画を見ることはできないんだなあ、と思うととてもかなしい。

Bolero (1934)

17日、金曜日の晩に見ました。1910年代のNYで成功を夢見る草ダンサーのRaoul (George Raft)がいて、ダンスの相手の女性とは恋愛関係になりそうになると仕事とは別、って割り切りながら成りあがってパリまで行って、運命の女性Helen (Carole Lombard)に出会うのだが、やはり別れて、そのうち第一次大戦が始まって従軍して怪我して、でも無理して戻ってきて..
実在したアメリカ人ダンサーMaurice Mouvet (1889-1927)の生涯を基にしていて、最後にふたりがBoleroを踊るシーンは、Mitchell Leisenが撮っているのでそこだけなかなか格調高くてかっこよい。
Carole LombardというよりGeorge Raftかっこいい!の映画。最後がちょっとかわいそうだけど。

Swing High, Swing Low (1937)

18日、土曜日の午後に見ました。 
“Bolero”が踊るCarole Lombardだとすると、こっちは歌うCarole Lombardの映画なの。
パナマ運河でMaggie (Carole Lombard)と除隊直前のSkid (Fred MacMurray)が出会ってSkidはトランペット野郎で、ふたりはぶつかり合いながらも仲良くなり、歌とペットのコンビで盛りあがるのだが、Skidは先にNYに行って別の女性シンガーと組んで大当たりして、でも彼女のいじわるでMaggieとSkidの交信は途絶えて、やがてSkidは落ちぶれて.. 最後はしっとりと終わるメロドラマなのだが、そもそもはぜんぶSkidの自業自得だよね、って。
Carole LombardとFred MacMurrayの組み合わせって、なにが素敵なのかしら、って考えている。適当でやんちゃなアメリカ人青年とタフで一途で揺るがない女性、ってだけだと当たり前すぎてつまんないしな、とか。

Mr. & Mrs. Smith (1941)

19日、日曜日の夕方に見ました。とっても有名なAlfred Hitchcockのコメディ。
結婚3年目でNYに暮らすAnn (Carole Lombard) とDavid(Robert Montgomery)がいて、しょうもない喧嘩ばかりしてて、Annが生まれ変わったらもう一度あたしと結婚する?って聞くとDavidはいやそれは、って返して、しばらくすると彼らは法的に結婚していないことがわかってしまったので、その質問がじんわり効いて雪だるまになり子供みたいに好き放題しまくりのいがみ合い見せつけ合いを始めるの。 結果はわかりきっているのだが。

相手を好きすぎるのでひどい仕打ちの連打によって相手の気を惹いて確かめようとする合戦コメディ映画としては“The Awful Truth” (1937)の方がおもしろいかも。でも冒頭のCarole Lombardの寝起きの挙動とか、それだけでじゅうぶんなの。

To Be or Not to Be (1942)

20日、月曜日の晩に見ました。きれいな35mmプリントだった。 これがこの特集で見た最後の1本で、彼女の遺作で、史上最強のナチおちょくりコメディなの。おおむかし、リュミエール・シネマテークでVHSが出た時はすぐに買ったし、その際に映画館で一度だけ上映された – シネセゾンだっけ? - ときも並んで見たし、その後もどっかで上映があると見ている。 何度見てもいくらでも笑えて、冒頭の「ルビンスキー 〜 クビンスキー 〜 ロミンスキー 〜 ロザンスキー & ポズナンスキー」の韻とか、「シュルツ!」とかが耳に残る。

ナチが侵攻してきた頃のワルシャワで劇団をやっている俳優夫婦 - Josef Tura (Jack Benny)とMaria (Carole Lombard) – がいて、そこにナチスのスパイとか若い英国空軍兵士とか戦争の趨勢を左右するいち大事と夫婦の間の浮気した/しない問題とか、劇団の運命とか、ぜんぶが団子にこんがらがって大博打の大芝居がうたれて...  善玉も悪玉も男共はおろおろばたばたしっぱなしなのに対して、Mariaだけが最後まで女神のようにつーんと輝いていて無敵としか言いようがなくて、そこにくどいくらいに被さってくるハムレットの”To Be or Not to Be” - 命がけなんだってば。とにかくめちゃくちゃおもしろいから見て、しか言えない。

それって彼女の映画ぜんぶに言えることで、とにかく彼女を見て、なんだわ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。