23日、日曜日の午前にCurzonのAldgateで見ました。英語題は“ Portrait of a Lady on Fire“。
原作があるのかと思ったら監督のCéline Sciammaさんがひとりで書いていた。”Tomboy” (2011)を、そして”Girlhood” (2014)を書いた人なので、外れない。
公開1週間前のメンバー向けのプレビューで、これの前にも昨年のLFFで評判になって(突撃したけど見れず)、これまでも何度か - Valentine Dayのとか - プレビューの機会はあって、でもなかなか行けなかったやつにようやく。
昨年のカンヌでは最優秀脚本賞とQueer Palmを受賞している。確かにすばらしいラブストーリー。
18世紀末、画家で絵を教えたりしているMarianne (Noémie Merlant)が、教室の隅にあった絵について生徒に聞かれて、それは“ Portrait of a Lady on Fire“っていうの、と語り始めるところから。
Marianneが画材を抱えて荒海を越えて孤島のお屋敷にやってくる。イタリアの貴族のとこに嫁いでいくそこの娘 - Héloïse (Adèle Haenel)のお見合い絵画を描くのが彼女の使命で、彼女の前に雇われた男性の画家はクビにされてて、母親からはHéloïseが描かれることを嫌がるのであなたは彼女のお散歩相手として来たということになっているから、と言われる。
こうしてMarianneとHéloïseは出会い、最初はとっつきにくそうだったHéloïseもお散歩していろいろ話していくと打ち解けて、Marianneは夜になって彼女の面影を思い出しながら絵筆を動かしたりするのだが、そのうち顔も知らないような相手のとこになんで絵一枚背負って嫁いでいかなきゃいけないんだ? っていうHéloïseの苦しみがわかるようになり、そうするとMarianneも自分の素性と目的を明かすしかないか、って自分がここまでで描いた絵を見せるとHéloïseはそれを却下する。ここに描かれているのは自分ではない - あなたにはわかるはずだ、と。
Marianneはそれを認めて、母親にも描き直し= 滞在延長の許可 - 但しわたしがイタリアの旅から戻ってくるまでね - を貰い、彼女が旅立ってしまうとそこから先はメイドのSophie (Luàna Bajrami)を加えた3人の楽しい暮らしがあって、改めて画家とモデルとして対面したMarianneとHéloïseは画布ごしに、わかっていたかのように恋に落ちる。やがて出来あがる絵画はふたりを引き裂いてHéloïseを一生苦しめることになるかもしれないのに、なのに、彼女を見つめて画布に描いていくのって、なんて素晴らしい経験だろうか、って。
画家とモデルの関係を描いた映画で思い出すリヴェットの『美しき諍い女』(1991) ほど狂ってはいなくて、恋に落ちる道理が絵の出来あがっていく過程に真っ直ぐに同期していてそうだよねえ、としか言いようがない。肖像を描く、ってそういう経験でもあるよね、と。
(”Titanic”はちとちがう)
他にも素敵だったり考えさせられたりするエピソードはいっぱいあって - 夜のお祭りのとことか - でも特に、エピローグの本のページのとこはとっても泣きそうになる。
とにかくふたりの衣装の色 - 赤と緑のコントラストとどこまでも見つめ合うふたりはそのまま絵から抜け出したようで、これらを総合するとどまんなかの恋愛映画、としか言いようがないの。
Marianne役のNoémie Merlantさんは、こないだ日本に帰ったときに見た機内映画 - ところで最近の機内映画、見たいのぜんぜんないよね - “Return of the Hero“ (2018) - 邦題『英雄は嘘がお好き』- これも古典劇 - で脇役だけどコミカルな演技してて印象的だった。
日本で上映されるならレズビアン&ゲイ映画祭みたいなイベントではなく、ふつうのとこでやってほしい。”Vita & Virginia” (2018)も忘れないでね。
もう一回みたいな。
2.28.2020
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