22日、土曜日の晩、BFIのElia Kazan特集で見ました。前に見たことあるやつだったが、こんなにもタイムリーなネタがあるだろうか、って。邦題は『暗黒の恐怖』だって。
ニューオリンズの港町でやくざのBlackie (Jack Palance)とその仲間がばくちのテーブルを囲んでいて、そのうちの一人の顔色が悪くて熱あるし頭いたいし具合悪いから俺ぬけるわ、って外に出るのだが、囲んでいた連中は勝ち逃げは許さねえよ、って彼を散々追いまわして波止場で殺してしまう。
翌日発見された遺体を検屍した係官からU.S. Public Health Serviceにいる医者のClinton Reed (Richard Widmark)に電話が入り、彼が調べてみると顔色が変わって、これは肺ペストにちがいない大変だ、になる。警察のWarren (Paul Douglas)と一緒に、この遺体は誰なのか、どこにいて何をしていたのか、誰と一緒にいたのか、等を突き止めないとパンデミックになる、って遺体の写真一枚をもって街に捜索に出るのだが警察はそんなの無理だよ、ってあまり相手にしてくれないのでClintonひとりの奮闘が始まる。
やがて感染によると思われる別の死者が出て、なんかおかしいと感づいた新聞記者がなにが起こっているのか教えろ、と騒ぎだし、市長もそれが本当なら早く市民に知らせないとパニックになるぞ、って詰め寄り、そういうのを相手にしている間にも時間は過ぎて、Blackieの子分のひとりが発症して..
他にも最初に死んだ彼が移民として船から来たこととか、あまりに今のいろんなことに繋がってくるので手に汗握りながらみた。発生源を突きとめること、そこから感染の経路を探ること、そこから可能な予防とか隔離とかの手を打つこと、ウィルスの正体がどういうものかわかっていなかった、というのはあるのだろうが、であればなおのこと初期の封じ込めを徹底しておけば今みたいなことにならなかったのに… ていう素人でも考えればわかりそうなことを素人の代表であるはずのメディアが(この映画の記者みたいに)真剣に怒って詰め寄らなかったから今みたいなことになっちゃったんだよ。なんで明らかに初動に失敗している政権の言う「方針」だのなんだのをそのまま垂れ流してんの? あんたらいらないわよ。
とか、そんな余計なことばかり考えてしまうのだが、そういうことを考えさせるくらいにこの映画に出てくるひとりひとりの顔や動きがもたらすドラマは生々しく今の世界のそれで、終盤の決死の追っかけっこは手に汗にぎる。Jack Palanceの、ウィルスなんて寄ってきそうにない悪っぷりとかアクションとか圧倒されるし。(追っかけっこの奥のほうに猫(犬?)みたいのが一瞬映るのがよいの)
でも、これら一連の騒ぎで菌は相当ばらまかれてしまっているかんじだから、本件が決着したあとも大変だったのではないかしら、とか少し心配。
これが70年前だよ。カミュの「ペスト」が売れているのならこっちだって。
2.28.2020
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。