15日土曜日の昼、CurzonのMayfairで見ました。
公開直後の週末なのだが、ちょうど(先週末に続いて)Storm Dennisっていうのが来るぞ来るぞって風がぼうぼうに吹いてて、ここはただでさえ週末の昼間はひとがいない館なので、この回もでっかいホールに近隣のお年寄りが5~6人いるだけだった。
原作は問答無用のJane Austen。タイトルに”.”が入っているのはなんでかしら?
監督のAutumn de Wildeさんはこれが映画デビューのようだがRilo Kileyをはじめ、The Decemberists, Elliott Smith, Spoon, The Raconteurs, Death Cab for Cutieなど、ある時期のアメリカの最良のバンドたち(この時代ってどのバンドのライブに行っても外れなかったねえ)のジャケット写真やPVを手掛けてきた方なので心配いらない。し、実際まったく心配いらなかった。 春に向けてのとても爽快な一本。
原作を読んでいなくても十分に楽しめるのだが、後でもよいので 本は読んでほしいかも。Jane Austen原作のはTVも含めていっぱい映像化されているけど、100%パーフェクトって言えるのはやっぱり紙の上を流れて行くやつだし、そこを押さえておけば映画でもTVでもあ、ここはそう撮るのね、とか、この役って彼/彼女でいいの? とかえんえんぶつぶつ言えておもしろいし、ここは80点とかここは60点、とか遊べるよ。最近のだと”Love & Friendship” (2016)があるし、いまだに(永遠に)議論になってる”Pride & Prejudice” (2005)とか。 あと”Pride and Prejudice and Zombies” (2016)とかもあったよね。 なかでも“Emma”はストレートにコメディとして楽しめるので大好き。
冒頭には原作通り、”Emma Woodhouse, Handsome, Clever, and Rich..”って出て、その通りのEmma Woodhouse (Anya Taylor-Joy)のつーんと強くて自信たっぷり頼もしい - 時折べそかいたりするけど - の秋冬春夏を通した大活躍が描かれる。Alexandra Byrneのカラフルな衣装が隅々まで眩しくかっこよく、いろんな女子男子が隊列を組んでざっざっざって横移動していくとこの華やかさとか、ボールルームのダンスシーンのジェットコースターとか、いちいち手に汗にぎって息とめてたまんないの。
ここまでキュートで胸躍るかんじのがやって来るとは思っていなくて、Emmaの黄色を中心としたこれって、そういえば“Clueless” (1995)にもあったやつで、小娘感がなんだかすばらしいぞあんた、のHarriet (Mia Goth)は、Tai (Brittany Murphy)の転生というのか前世というのか、そういうやつとしか言いようがなくて、なんか泣きたくなったり。
あとはEmmaとGeorge Knightley (Johnny Flynn)が恋におちる瞬間、その瞬間がしっかりと刻まれているので、それだけでじゅうぶん。
あとは、ただいるだけでなんもしない - それだけで明らかに尋常ではないかんじの父 - Mr. Woodhouse (Bill Nighy)の佇まい。これってWes Anderson映画におけるBill Murrayと同じような位置付けだろうか。 他の男子 - Mr. Martin (Connor Swindells)も、Mr. Elton (Josh O'Connor)も、Frank Churchhill (Callum Turner)も、その適度かつ絶妙なぼんくら模様がすばらしいったらなくて、Emmaサイドの勝利は明白なの。
↓ の”David Copperfield”といいこれといい”Little Women”といい、まだ古典からいくらでもおもしろい映画は作れるんだし、日本はそういうのの宝庫なんだから、もっとやればいいのにな。もったいないな。
邦題、お願いだから「わたしのエマ物語」とかになりませんように。
2.17.2020
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。