12.01.2018

[film] The Ballad of Buster Scruggs (2018)

11月19日、月曜日の晩、CurzonのBloomsburyで見ました。Netflixのだけど映画館でも上映している。

Joel & Ethan Coenの、”True Grit” (2010)以来の西部劇、でよいのかしら。

関連のない(あるように見えない)全6話からなるオムニバスで、各話は本の扉を開いてページをめくるところから入って、閉じるところで終わる。にほん昔ばなし集、みたいなかんじ。
以下かんたんに。短いのでぼうぼうにネタバレするから。

The Ballad of Buster Scruggs
Buster Scruggs (Tim Blake Nelson)は民謡を歌いながら超早撃ちもできちゃう無敵のガンマンで、酒場で因縁つけてくる奴もあっという間に片づけてしまうのだが、若いガンマンからの挑戦を受けたら、今度はあっという間に …

Near Algodones
カウボーイ(James Franco)が原っぱにぽつんとある銀行に強盗に入ったら向こうはフライパン片手に反撃してくる変な野郎で手強くて、やがて馬上で高い木の上から縄で吊るされてもうだめか.. てなったところで奇跡の逆転をして、でも結局は首吊り台に立たされて「あそこにかわいい女の子がいるなー」とか言ってももうおそい。

Meal Ticket
Liam Neesonが馬車でどさまわりをする興業をやっていて、演じるのは手も足もないHarry Mellingで、お化粧してきれいな恰好をした彼が詩を詠んだりリンカーンの演説を諳んじたりして、終わると興行主がお金を回収してまわる。 ふたりはずっと無言で移動しているのだが、ある日興行主は計算芸をするニワトリを見かけてそいつを買って、実入りの減ってきた喋る胴体くんは..

All Gold Canyon

泉が湧いててシカがいてフクロウがいる楽園のようなとこに浮浪者みたいな金掘り(Tom Waits)が現れて、根気よく掘って洗って測量してを繰り返し、ようやくここかな、というところを見つけて量産に入ったら後ろから若いのに撃たれて、若いのは金をそのままいただくぜ、てなったところで金掘りが蘇って若いのをぶっ殺し、掘った穴をそのままそいつの墓にして次のとこに旅立って、楽園は元に戻る。

The Gal Who Got Rattled

西のOregonに向かって原野をコーチで渡っているAlice (Zoe Kazan)たちがいて、途中で兄が急死してどうしよう、っていうところで助けてくれたりしたBilly Knapp (Bill Heck)と仲良くなってポロポーズされて天にも昇るかんじになるのだが、その翌朝プレーリードッグを見ているときにインディアンに襲撃されて彼女ひとりが死んじゃうの。Billyになんと言ったらよいのやら …

The Mortal Remains
乗合コーチで移動している5人がいて、うちふたりは仕事仲間らしく、ひとりは女性で、夫婦関係とか言葉とか信仰とか、とりとめのない話しをしているのだが、女性は容態が悪くなって、それをアイリッシュのおじさん(Brendan Gleeson)が歌って鎮めて、やがてふたりは賞金稼ぎで死体を運んでいることがわかって、残りの3人は怖いよう … って。

それぞれの話し、その関連や成り立ちについていろんな角度からいろんなことが言えると思うが、少しだけ。

各話はだいたい20分くらい、開かれた本(おそらく古書)のページから立ちあがって、明らかにデジタルで撮影された(加工も?)ぺったんこで雄大な西部の風景をバックに、古書のページとデジタルランドスケープの間に展開される物語、でもそれはたったの20分だし、なにをどう説明できるのやら。

6つの話はどれも死を扱っていて、それは死ぬことであったり殺すことであったり突然やってくる死であったり、でもそれ以外の共通項はあまりなくて、そこにくっついて来がちな無常感、悲壮感、孤絶感、みたいのも希薄な即物的で動物のような死、それぞれは独立して切り離された別の世界でばらばらに起こっている話のように見える。20分だからそうならざるを得ない、というか、20分でもこれだけの幅を出せるのだ、というか。

それでも2つずつで束ねられたりしないだろうか。 最初のふたつは孤高のカウボーイが自分では思いもよらなかった死に方をする話、真ん中のふたつは、どうみても先のなさそうな汚れた年寄りが若者を殺して自分が生き延びる話、最後のふたつは思いもよらない陰から忍び寄ってくる死とその恐怖。 ただ、最後のエピソードだけトーンがちょっと抽象的で、全体を総括しているイメージもあるけど。

あとは歌。Tim Blake Nelsonの素っ頓狂なBalladで始まって、Brendan Gleesonの静かなアカペラで閉じる。

好きなのは真ん中のふたつかなあ。やがてふたりの老人 - Liam NeesonとTom Waits - が荒野でぶつかって対決するの。 ニワトリとフクロウで。

もうフィルムでは撮影しない宣言をしているCohensによるデジタルワールドへの嫌味、みたいに取れないこともないかも。

12月だってさ。 どうするんだ。

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