11月20日の晩、BFIで見ました。”Comedy Genius”特集の目玉で、4Kリストアされた”9 to 5” (1980)がリバイバルされるのに関連しているのかいないのか、Jane Fondaの特集 “Jane Fonda: Coming of Age”も並行してやっている。 10月には本人が来てトークしたりしていたのだが(Isabella Rosselliniのと被ってて)、やはりこれもぜーんぜん行けていない。
70年代、Pennsylvaniaの会社の重役が失踪して、警察は彼がNYの娼婦(あ、邦題は『コールガール』ね)Bree Daniels (Jane Fonda)に宛てた卑猥な手紙を見つけていて、会社と彼の家族はコトを広げたくないからか彼と面識のあった捜査官John Klute (Donald Sutherland)をNYに送る。
Breeはオン・コールで娼婦をしながらモデルのオーディション受けたりセラピーに通ったり、なんとか今の生活を変えようとしているところでもあって、Kluteの質問なんて初めは相手にしないのだが、KluteがBreeのアパートの下に部屋を借りて地味に辛抱強く貼りついているとだんだんに距離が縮まっていく。
そのうちBreeの間近にいた娼婦ふたりが自殺したり消えたりしていることを知り、Breeの部屋も荒らされたりして、明らかに彼女が狙われていることがわかって。
複数の失踪が絡む犯罪サスペンスなのだがそんなに猟奇的でもパラノイアックでもなくて、犯人も割とすぐにわかるしアクションは地味でなにやってるかわからないとこもあるし、それでも印象に残るのは都会でぽつんと猫と暮らしているBreeの部屋を遠くから捉えたところとか、いつの間にか彼女の横にいるようになる仏頂面して寡黙なKluteとのふたりの絵とかそういうので、70年代のNYをしっとり柔らかいコントラストで美しく撮った作品 - 撮影は名手Gordon Willis – として記憶されるべき。
テープレコーダーで始まってテープレコーダーで終わる。 録音されたBreeの声も素敵で、Jane Fondaはこれで(勿論声だけじゃないよ)オスカーの主演女優賞を獲っているのね。
“Don't Look Now” (1973)より前のDonald Sutherland。Nicolas Roegについては追悼できるほど見ていないのですが、“Don't Look Now”は以下の記事にあるように最近のモダン・ホラーとの関連で今こそ見られるべき作品かもしれないねえ。
https://www.newyorker.com/recommends/watch/dont-look-now-nicolas-roegs-uncanny-masterpiece?
Cat Ballou (1965)
10月26日、金曜日の晩にBFIで見ていたやつ。これもJane Fonda特集からの1本。
真面目なCatherine (Jane Fonda)が教師になるべく学校を終えて列車でワイオミングにある自宅の農場に戻ると、その土地は悪党に狙われていることがわかったので用心棒の凄腕ガンマンKid Shelleen (Lee Marvin)を雇うのだが、こいつはいつも酔っ払っていて役立たずで、父親も目の前で殺されてしまう。色恋狙いでくっついてきた若造たちとShelleenとで復讐すべく訓練して立ち向かって暴れてみるのだが結局お縄になって首吊り台へ、彼女 – “Cat Ballou”の運命やいかに― ていうややおちゃらけ寄りのウェスタンで、ただひとり、異次元から来たようなぼうぼうに小汚いLee Marvin - お酒を飲めば百発百中 – だけがフランケンシュタインみたいにそこに生々しく立っているかんじ。
西部劇なので”The Ballad of Buster Scruggs”との関連も考えてみたのだが、関連なんてぜんぜんなしでよいのだと思った。 歌のところだけ、Nat King ColeとStubby Kayeのふたりが辻辻 – クロスロードに立ってて琵琶法師みたいに歌にして風に飛ばしてくれる。 そうやって飛んできたやつが本とかに落ち着いて、それが開かれて再び映画になって、ていう無間のサイクルのなかを我々は生きているのだねえ、って。
これはこれでぜんぜんよいのだが、”The Ballad of Buster Scruggs”がそれを見る我々に意識させる現代性みたいのって、なんなのだろうか。 “Cat Ballou”に時代を感じさせてしまうなにか、ってなんなのだろうか。
Preston Sturgesの”The Beautiful Blonde from Bashful Bend” (1949)とかを見たい気分かも。
(限りなくバカなやつを遡っていきたいかんじ)
12.02.2018
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