8月25日の土曜日、BFIのJoan Crawford特集で見ました。 この日は午後に”The Women” (1939)見て、続けて夕方にこれ見て、Joan Crawford漬けの一日で、この特集で昨日までで10本くらい彼女を見ているのだが、見れば見るほどJoanすごい、としか言いようがないの。
夜中、海辺の邸宅でMonte Beragon (Zachary Scott)が撃たれて、そこから真っ青な顔でよろよろ出てきたMildred Pierce (Joan Crawford)は橋から身を投げて死のうとしているようだができなくて、やがて警察に呼ばれると、Monteを殺したのは彼女の前夫のBert Pierce (Bruce Bennett)で、本人もそれを認めているという。それを聞いたMildredは、いえ彼はそんなことをする人ではありません、と身の上と真相を語り始める。
主婦だったMildredはふたりの娘を育てるのに手一杯で夫の愛人問題とかも出てきたのでBertとは離婚して、娘たちを育てるためにパイ屋でウェイトレスして懸命に働いてお金を貯めて、やがて自分でお店を開こうと借りた物件のオーナーだったMonteとも仲良くなって、開業したお店は繁盛して2号店3号店もできて順調にのし上がっていくのだが、他方で下の娘を肺炎で失ったり、手をかけていた上の娘のVeda (Ann Blyth)はいつの間にか身勝手な娘に育ってしまっていてMonteと付きあい始めるわ、そのMonteは実は一文無しで裏でMildredのお金を食いつぶしていたり、更にひどいことにVedaに手を出していたりあんまりなこともたくさん起こって可哀想になる。下衆の間で崇高さを失わずに歯を食いしばるMildredに救いは訪れるのか? 事件の真相は?
ストーリー展開や個々のエピソードだけなら昼メロとかソープオペラみたいなのだが、それだけではない、例えば戦後の復興から繁栄に向かって誰もががむしゃらにがんばっていた時代の熱とか、そのなかで自分の家族だけはどこに出しても恥ずかしくないようにせねば、ていう熱い思いとか、かといってなにもかも犠牲にするわけにはいかないこれはわたしの人生、ていう意地とか根性とか、そういうのが全てMildred Pierceの眼前でスパークしてあの晩に起こってしまった犯罪との間に強烈なコントラストをつくる。それらが全てMildredの一晩の告白に凝縮されて、ラストの朝の光のなかに静かに散って溶けていく。
クラシックの名曲のようにいくつもの小竜巻を巻きこみながら怒涛と倦怠のクライマックスになだれ込む構成のすばらしさもあるし、もういっこはそれを見るすべてのひとにMildredはわたしだ、と確信させてしまうような強さと弱さが違和なく彼女のなかに保たれていて、つい自分で拳を握って上を見あげてしまう、そういう力があって、それはおそらく女優Joan Crawfordの持つそれなんだろうな、とか。
HBOで2011年に放映されたTVシリーズの”Mildred Pierce”は、(こちらの方が原作に忠実だというのは聞いているけど)見ていなくて、Kake WinsletのMildredはどうなのかしら - 今演じることができるのって誰かしら、とは少し。 Julianne Moore ? うーん。
あと、例えばJoan Crawfordが”Jeanne Dielman”を演じたら、ていうのは少し夢想してみる。
The Women (1939)
これはもう何度も見ていて、でも今回BFIの一番でっかいスクリーンで見たらどんなだろうか、と。
女性(老いも若いも)が圧倒的に多い客席はほぼ埋まっている、すごいよねえ。
感想はもう書いているのであんま書かないけど、133分、いろんな女性たちのちゃきちゃきの喋りだけで初めから終わりまで釘付けにしてきゃあきゃあ笑わせて、それが大きいスクリーンだとアクション映画の怒涛の迫力で迫ってくる。 冒頭の人物紹介に出てくる動物たちが実物大でわらわら現れるかんじ。
Joanの特集だし、目がJoanに浸かってきたので、この映画の主役は悲劇に見舞われるMary (Norma Shearer)ではなく、Womenを思うままに引っ掻き回して最後に -
“There's a name for you ladies, but it isn't used in high society... outside of a kennel. So long, ladies!”
ていう捨て台詞を残して颯爽と去っていくCrystal Allen (Joan Crawford)のほうだよね、と思えてしまうのだった。
終わったら大拍手だった。 なんか気持ちよい。(のはなぜ?)
9.12.2018
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