8月15日水曜日、NYに発つ前の日の晩にBFIで見ました。
昨年の”Howards End” (1992)に続く、E. M. Forster(原作)- James Ivory(監督)作品の4K リストア版で、30周年ということもあって結構な規模でリバイバル公開され、昨年の”Call Me By Your Name”熱もあってか、これの予告編にはSufjanぽい曲が使われたりしてて、でも全く違和感なくはまっていて、わあー、だった。”Call Me By Your Name”、ケーブルTVでもう流れているので何回か見ているけど、何度見ても爽やかでよいねえ。(こないだサントラの桃の色と香り付盤かった。桃の香りについては微妙かも)
少し世代ぽい話しになるけど、”A Room with a View” (1985) - “Maurice” (1987) - “Howards End” (1992)、この3つが自分のなかではいろんなシーンも含めてごっちゃになっていて、それが昨年と今年のこれで結構クリアになってきたので、あとは”A Room with a View”だけ再見できれば。
どうでもいいけど、若い頃にこれら(とか初期のThe Style Councilのイメージ)に触れてしまったので自身の以降のファッション道はもうどうでもよくなってしまった(かなうわきゃないし)、というところも含めて、いろいろ罪深い映画たちではある。(かといってUNIQLOとかMUJIもいやなんだよね、しょうもないよね)
Mauriceが11歳のころ、遠足に行った浜辺で学校の先生から性の不思議について不思議なことを言われてきょとんとする、というのが冒頭。
1909年、第一次大戦の前、大きくなったMaurice (James Wilby)はCambridgeに入ってClive (Hugh Grant)と出会い仲良くなり、更には互いに戸惑ったりびっくりしたりしながらも友情を越えて愛を確かめあうようになり、でもCliveは家族や将来のことを考えて次第にその熱から冷めてやがて良家のAnne (Phoebe Nicholls)と結婚し、Mauriceは逆に自問や嫌悪も含めて熱にうなされるようになって、そんな中で出会った猟場番のAlec (Rupert Graves)と会うようになって..
まだOscar Wildeの裁判(1895)の余波も生々しく、ホモセクシュアルが犯罪とされていた時代、一時の熱から距離を置いて社会での自分の場所を確保しようとするのも、熱を抱えたまま彷徨っていくのもどちらもありで、でもそこでのふたりの葛藤や決断を(主にMauriceの眼差しから)繊細に捕えているので単なる「あの時代」「あの階層」のことに留まらない普遍的な青春のドラマになっていて、彼ら – Maurice, Clive, Alecがそれぞれ内側に抱えていた心のありようは”Call Me By Your Name”のOliverとElioのそれにまっすぐ繋がっていく。間にギリシャ彫刻や美しい自然のあれこれを介すまでもなく- それはぜんぜんクイアーななんかではない、古代から続いているただの神秘で、その理由はわかんないけど美しくて、そこに身を置いて浸るのはちっとも悪いことではない、そういうなんかがある。 30年前の自分はそこまで見れていたのかどうか。
英国の文化あれこれ、Cambridgeの当時からの校風、そういったのを知っていてもいなくても、彼らの数年間に渡る想いの交錯や断絶は、メロドラマとしての純度が高くて、撮影のPierre Lhommeの、青みがかった朝靄や水面の美しさがそれを更に際立たせていて、クラシックの名画なのよね。
“Howards End”もこれも、なんで日本では公開しないのかしら? ほんとに美しい名品なのに。いまの若い人達が見るべき映画なのに。
この頃のHugh Grantはほんとうに瑞々しくて、まさに今のTimothée Chalametだと思うのだが、Timothéeくんが30年後に熊の映画とかに出て半端な悪漢をやったりする可能性もないとはいえないことは覚悟しておこう。(だいじょうぶ、それまでにはしんでる)
9.04.2018
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