2.20.2018

[film] A Touch of Love (1969)

11日、日曜日の晩、BFIで見ました。 邦題は『愛のふれあい』...

BFIで映画監督Waris Husseinの回顧上映シリーズが始まって、よく知らないので見てみることにした。それまでTVで活動していた監督の映画第一作で、この後に『小さな恋のメロディ』を撮るのね。 上映後にやはりこれが映画デビューとなったIan McKellenと監督のトーク付き。
原作はMargaret Drabbleの”The Millstone” (1965) - 邦題は『碾臼』。これを彼女自身が映画用に脚色している。

博士号を取るために大英博物館の図書室で勉強をしているRosamund Stacey (Sandy Dennis)が独り暮らしをしているらしいロンドンのアパートに戻ってきて、酒をぐびぐび飲んでお風呂にお湯をためて、どうも自殺をしようとしているらしいのだが友達一同が入ってきてその試みは失敗して、いつもの恋バナとか結婚するだのしないだのになったりするのだが彼女は乗ってこなくてなんかどんよりしている。

回想のなか、どこかのパーティで新進ニュースキャスターのGeorge Matthews (Ian McKellen)と出会った彼女は帰り際に彼と寝ちゃって、しばらくすると妊娠していることがわかって、それがどんよりの原因だったことがわかるのだが、やがて彼女はひとりで産むことを決意する。

そこから映画のトーンは少し変わって、彼女が勉強の傍らひとりで病院に行って子供を産んで、産まれてからも赤ん坊が怪我したりで病院に通い、でも英国の病院のがちがちに融通が利かない不便さにぶちきれたりごたごたするのだが、どうにかなんとかなったり。

最後、キャスターとして十分有名になっているGeorgeと偶然再会したRosamundは赤ん坊を見てほしい、と言っておうちに来て見てもらうのだが、結局彼には言い出せないままで終わるの。

全体としてあんま明るいお話しではないのだが、Rosamundの張りつめた惑い顔と絶叫と踏んばりがすばらしくて、最後は吹っきれたようだし、よかったねえ、な感じは残るからよいの。

上映後の監督とIan McKellenのトーク。デビュー作を見直してみてどうでしたか? との問いにIanさん「NHS - National Health Service - 国民保健サービス – はなんとかならんもんかのう…」って。
(NHSっていろんな不足からサービス劣化が深刻化しているのが頻繁にニュースになっているので、全員爆笑)

監督のWaris HusseinもIanもこの作品、同じタイミングでTVの世界から映画の世界に入ったというのと、どちらもケンブリッジ出身ということで終始寛いで和やかな雰囲気で、更に原作のMargaret Drabble もケンブリッジで、これって確か彼女自身の経験から来たんじゃなかったっけ?とか言っていて、後で調べたら監督は38年生まれ、Ian McKellenもMargaret Drabble も39年生まれなのだった。(Monty Pythonも半分はケンブリッジのほぼこの年代だし、どこかに60年代のケンブリッジ人脈が英国のTV、演劇、映画の世界にどれだけ蔓延って影響力を持っていたかを書いた資料とかない?)

という具合の身内話、昔話みたいのが続いて(おもしろいからぜんぜんよいの)、他には病院のシスター役で出ていたRachel KempsonってVanessaのママだよ、とか言うので誰かと思ったらVanessa Redgraveのママだったり。

それまでやってきたTVと映画の違いはなんだったでしょう? と訊かれて、Ian「映画は撮り直しがきくことかな」 - 監督「でもあなたはだいたい2~3回ですぐ終えていたよね」- Ian「そうだったっけ? Peter Jacksonには29回も撮り直しさせられたぞ。このわしが!」、とか。

主演のRosamund 役のSandy Dennisさんについては、アメリカの俳優さんなので少し心配だったけど全く問題なくてすばらしかった、とふたりとも合意。彼女、JazzのGerry Mulliganと結婚してて(その後別れた)、100匹くらいの猫と暮らす猫おばさんだったんだって。

あと、米国のタイトル“Thank You All Very Much”は、なんでそうなるのかぜんぜんわからなかった、意味不明、って。たしかに…

そうそう、昨年の10月、田舎のChichesterのシアターで上演されたIan McKellen主演の『リア王』、この夏にロンドンで再演するって。あの遠くまで行った苦労はなんだったのよ。 でもすばらしい舞台だったのでもう一回見たいし、見れるひとは見にいったほうがいいよ。

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