2.19.2018

[art] Tove Jansson (1914-2001) 他

アート関係のがどんより溜まってしまったので、憶えている限りのをメモ程度で。時系列で。

Winnie-the-Pooh: Exploring a Classic   @Victoria & Albert Museum

V&Aで12月中旬くらいに行ったら床上1m未満を這いまわる(そういう会場の仕様)元気いっぱいの子供たちで芋洗い潮干狩状態で、もう一回来なきゃな、になった。展示内容は最強のクラシックに決まっているのでなんの文句もないの。あの映画 – “Goodbye Christopher Robin” - に描かれたようなほんのちょっとの切なさが見えないかしら、ていうのは贅沢というもの。ちょっと意外だったのはディズニーのプーのコーナーもあったことくらい。

Harry Potter: A History of Magic   @British Library

1 月3日、2018年最初に行った展覧会。オンラインのチケット予約がバグなのかなんなのか一向に取れなかったので朝に並んでメンバーになってから見た。

オープン当時、BBCでこの展示について特集番組が組まれていて、単にHarry Potterの物語を中心とした資料の展示というより作品の世界観を構成する古今東西の要素を博物館や文献史料から寄せ集めて博物学的な観点から再構成してみる、ようなことを言っていて、本は読んでいなくても(映画は - すぐ忘れちゃうけど - 結構見ている)大丈夫かも、と思って行ってみた。

会場はテーマ毎に部屋があって、テーマは、薬、錬金術、薬草学、お守り、占星術、予言、魔除け、魔法動物、などなど。それに関係したHarry Potterからの抜粋とか挿画もあるし子供には楽しいインタラクティブな仕掛けもあるが、なによりもBritish Museumを始め英国各地の美術館や博物館から怪しげなのも含めて網羅的に集めてきているのがすごい。この手のネタは英国にはいくらでもあるんだろうな。薬草のところに「蒟蒻」の文献があって、いまも日本ではダイエットに使われている、とか、魔法動物のとこにBritish Museumにあるあの「人魚のミイラ」 - 本物初めてみたわ - もあったり。

Scythians: warriors of ancient Siberia
 @British Museum

今から2500年前、900 ~ 200 BCにシベリアの大地にあった文明の証みたいなのをいろんな出土品 - 装飾品、衣服、道具、などなどを並べて示す。こういうの、自分にとって全く未知の領域で、そんなおお昔に、あんな広い土地範囲に、今の我々が同定したり想像したりできるような文化、文明として括りうる何かがあったのかどうかわからない - 学術的にはあった/ある、ということなのね - ので、たんにすげえーとか、しぬほど寒そうー、とかで終わってしまう。 金の装飾品はなかなかチャーミングだったけど、ああいうのってコピーライトとかあるもの?

Rose Wylie: Quack Quack     @Serpentine Sackler Gallery

とにかくでっかい落書きみたいな絵がキュートでたまんないので、見てほしい。
あの輪郭に力強いストロークに、タイトルとか文字とかが被るときゅんとするのはなんなの。

http://www.serpentinegalleries.org/exhibitions-events/rose-wylie-quack-quack

Scott Mead: Above the Clouds   @Hamiltons Gallery

飛行機の窓側の席から撮ったと思われる写真3枚組をセットで展示していて、それぞれの写真のフレームは飛行機の窓のかたちになっている。 なんで3枚組かというと、飛行機が前に進んでいくやつである以上、真横と前と後ろがあるからだよね。機内から写真を撮るのが好きなのでこの人が写真を撮ったときに頭に浮かんだであろう(!)とか、よい景色が下に広がっていると当たり、とか思うその感覚とか瞬間はとてもよくわかるのだった。

Tove Jansson (1914-2001)   @Dulwich Picture Gallery

ずっと行かなきゃとじりじり思っていたやつで、最終日の1月28日、日曜日の朝に走りこんだら入口にチケットはすべてSold Outの張り紙があって一瞬で背筋が凍り、でも諦めずに窓口に行ったらさっき余ったチケットを1枚だけ置いていった人がいるからあげるって。
見知らぬひと、ありがとう。

美術館のあちこちにムーミンとか連中の張り紙があって素敵ったら。
ムーミンを描く以前の、画家としてスタートした頃からの作品も含めて包括的に。 昨年のSouthbankでの展示 – “Adventures in Moominland” – では、彼女がなぜムーミン/ムーミン谷に向かっていったのかを解りやすく説明してくれたが、この展示はそれ以前に彼女が見ようとしていた世界の大枠がわかるようになっていた。初期の油彩で描かれた自画像のタッチはVanessa Bell (1879-1961) のそれにも似て、淡い背景のなかに少し揺れる輪郭と、でも強い眼差しの女性があって、画家としての最後の作品(油彩)も自画像で、そこから先は線の細いイラストになって、誰もが知るあのTove Janssonに変わっていく。 その線があの動物、というか妖精の丸みや弾みを帯びてくるともう❤️しかない。

こんなのカタログぜったい買うよね、と思ったら売り切れていたのでとっても残念だった。

Modigliani  @Tate Modern

かつてMOMAで見たDegasの展示がその画家に対するそれまでの認識を一変させてしまったのと同様のでんぐり返しをもたらしてくれそうな予感があって、でもそこまではいかなかったかも。
初期の線と平面を中心に構成された硬質な人物像が、展示のまんなか過ぎに出てくるヌードのあたりで明らかに揺らぎ何かがせめぎ合って動揺しているのが見えて、そこには見飽きないおもしろさがあってModiglianiの食いこみかたすごいかも、って思った。でもそこから先、なにか諦めてしまったような感じが漂っていたのは気のせい、か。

ここで一旦切ります。

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