2.12.2018

[music] Peter Blegvad Trio

昨年のこの時期は、Slap Happy + Faustという夢の取りあわせライブがあって、ちょうど渡英直後ということもあったので何もかもが初めてでとても新鮮だったので、今もまさに夢の中のことのように思い出す。 今年のはなんかの(←なんだよ?)Fundraisingで三日間のシリーズがあって、その初日がこれ。

7時半のドアに合わせて行ったのだが10分前に着いたらもう開いてて(おそらく老人たちの健康に配慮したのではないか…)椅子はほとんど埋まってて、端っこのを見つけてなんとか座る。客層は昨年のときと同様に老人ばかりで、互いによろよろしながら椅子を譲りあったりしていて、ごめんね金曜日でへろへろなの座らせて..  って座る。

John Greavesさんのソロが最初で、グランドピアノに向かって鍵盤を鷲掴みするかのようなストロークとでっかい声で歌いだす。吠える、というほど激しいものではないがとにかく強く、深く広がる(昔みたWarren Zevonのような..)。2曲めから女性(ずっと探しているのだが名前が… 発音不可能な苗字、って紹介されてた)のヴォーカルが入ってもそのトーンは変わらなくて、でも曲間の語りは穏やかな音楽の先生のようで、少し昔の曲を- Peterと最初に書いた曲をやります - その曲名は..  というと客席のほうから生徒みたいに”Bad Archemy” (!) て合いの手声が入る。この曲、勇ましいピアノの音が本当に大好きで、ああせめてここに楽屋にいるであろうChris Cutlerさんのモグラ叩きドラムスが被ってくれたらなあ、だった。次はもう少し複雑なのを..  と”Kew. Rhone.” (!)  - 以下ぜんぶ! - をやって、それからPeterと一番最後 - 最近に書いた曲です、と”The Song” (!)を。この曲が入っている95年に出たCD – “Songs”はいまだによく聴く(こっちにも持ってきた)のだが、この曲のRobert Wyattの歌声はいつ聴いてもいくらでも泣けるの。

ここまででもうそのまま帰ってもいいくらい満ち足りてしまったのだが、30分休憩のあとにPeter Blegvad Trio  - Peter Blegvad, Chris Cutler, John Greaves with Bob Drakeのトリオだけど4人組のライブ。

Peterはスーツにサングラスでかっこよく右側に座り、左側に立つJohnはSteinbergerのベースでBobはストラトキャスターで、Chrisは相変わらずバチと太鼓がどこでどうぶつかってあんな音になるのか謎のキットに座り、誰ひとり最後まで楽器を変えずにずっとエレクトリックセットで、当たり前だけど全員めちゃくちゃうまいの。基本はPeterのソロからだったが” King of Straw”やったし本編のラストは”Strayed”だったし、どうしても帰ろうとしない客のために2回目のアンコールで”King Strut”やってくれた。この曲が1曲目の90年の” King Strut & Other Stories”、よく聴いたなー。Chris Stameyがプロデュースで。(棚のどっかにあるのか?)

この人とRobyn Hitchcockは英国音楽の特別無形天然なんとかに指定すべき、って改めて強く思った。

あとはChris Cutlerのドラムスのすばらしいことよ。
『June 12 1998 -カオスの縁-』って面白くて何回も見たけど、あれからもう20年なんだねえ。


Gavin Bryars - A Man in a Room, Gambling

少し前、同じくCafé OTOで1月26日の金曜の晩に見たやつ。

Gavin Bryarsさんが92年、スペインのJuan Muñozと共作した10ピースからなる”A Man in a Room, Gambling”(のうちの7ピース)プラスで数曲の演奏会(ライブ、というより演奏会よね)が毎週金曜日の晩、3週間に渡って行われた。

演奏される曲によってバンドの構成は変わって、この日はビオラ2、チェロ1、エレクトリックギター1、ダブルベース1 – Gavin Bryers。

まず、全体のアンサンブルがとてつもなく気持ちよいの。ぎこぎこ鳴る枯れた弦の音の間をぬってパルスのように響くエレクトリックギターの音とパルスの共振が生みだす電気雲と、その雲に反応して徐々に色合いを変えていく弦の連なりと。

“A Man in a Room, Gambling”は、各ピースが3~4分、男性のナレーションで”Good Evening”から始まってカードゲームの中継をする無機質な声が被り、最後に”Thank you, and Good Night”で終わる。

最初の回の時は日本に渡っていたので行けず、3回目はぜったい行くべし、と思っていたのに目の前で売り切れやがって…  3回目の時って、”Jesus’ blood never failed me yet” – “The sinking of the Titanic”のB面に入っていた曲をやったのになー。

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