9月25日、日曜日の夕方、日本橋でみました。「秋日和」でほんわか空に浮かんだあとで、極寒のハドソン川につっこむ。
『ハドソン川の奇跡』。
映画を見ればわかるのだがそこに奇跡と呼べるような要素はぜんぜんなかったことがわかる。
唯一それらしいのは、両方のエンジンに等量の鳥さんが同時にぶっこまれてしまったこと、かしらん。
機長 - Chesley 'Sully' Sullenberger(Tom Hanks)と副機長のJeff(Aaron Eckhart)がラガーディア空港を飛び立ってすぐにカナディアングースたちにぶつかって両方のエンジンが機能しなくなって、機長は最寄りの空港に引き返すことも検討したのだが、その余裕はないと判断してハドソン川によっこらせと着水して、結果的には乗客全員を救った。
事実としてはこれだけ。 だとおもっていた。
割と最近(2009年1月)の実話だし、誰もが経緯と顛末を知っているので安心して見ていられる、100分切ってて短いし。とか思っていたがとてもはらはらどきどき機体は蛇行して上下に揺れて、ぜんぜん落ち着いて見れるものではなかった。 ひょっとしたら最初の悪夢のシーンが本当でその後に進行する実際のドラマは幽霊がみた幸せな夢なのではないか、くらいの気持ちわるく落ち着かないかんじで進んでいく。
特にストーリーの根幹をなす - Sullyの悪夢の根源にもなる - 国家運輸安全委員会内に設置された事故調査委員会がシミュレータの出した結果を根拠にこのときのSullyの取った行動をつっつき始める、この辺の「ねえねえなんのためにそんなことすんの?」の気持ちわるさは実話であることを思うとなんだかとってもぐったりする。
つまるところはシミュレータのバカ、それを愚直に信じた事故調のバカ、というだけなのだが、2009年の時点ではこんなもんだったのよね。 今はAIとかもあるし、ここまで間抜けではないと思うけど。 想像力のとてつもない欠落、どうしようもなくズレているので何をどう言ったらよいのかわからないキツさ、これって日本の政治家とか官僚でもまったく同じだけどさ。
というわけで、安定していてかっこよいのはSullyの操縦する姿 - 若い頃のとても楽しそうに操縦する様子も挿入される - と、最後まで電話を通しての会話しか描かれない妻(Laura Linney)とのやりとりと、同志Jeffとのやりとりと、着水後にNY沿岸警備とか水上タクシーの連中がわらわらよってたかって救出しちゃうところで、でもそれだけで十分なの。
たまんないNY映画でもあるの。 朝のラガーディアのごちゃごちゃ狭苦しくて慌ただしいかんじ、直前になってゲートに駆けこんでくる客、遅れて機内に入ったとたん客全員から浴びせられる冷たい目、ぜんぶものすごくよくわかるしほぼやったことあるし。 そして普段は野球の話しとかちんたらしててちっとも仕事しないくせにコトが起こるととてつもないパワーと集中力を発揮してしまう警備・救助関係の野郎ども。
これらぜんぶNYの名物なんだよ。
あとあれ、真冬のハドソンの凍てつくかんじ。 入ったことないけど、ぜったい即死する。
10.09.2016
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