10.21.2016

[film] Billy Lynn's Long Halftime Walk (2016)

16日の晩、21:00にLincoln Centerで見ました。
NYFF (New York Film Festival)の公式の上映は15日の晩で終っていて、メイン会場のAlice Tullyも片付けられていて、でもこの日はアンコールのようなかたちで何本かが周辺のシアターで上映されていて、まだNYFFやってるんだから。チケットだって$45もするんだから。 ほら、Kent Jonesさんがあそこで談笑しているし。

この晩は他にMia Hansen-Løve さんのも上映されていたのだが、なぜかこのAng Leeの新作にした。 2012年のNYFFのオープニングを飾った“Life of Pi”(ライフオブ ”ぴ”)のお祭りのイメージがあるからかしら。

上映前には毎年恒例のNYFFの上映作品をこまこま繋げたかっこいいトレイラーが流れる。 これだけでとても盛りあがる。
TIFFのチケット騒動をこっちに来てから知って、ご愁傷様としか言いようがないのだが、元々そういう映画祭なんだよ。あの映画祭は国と企業スポンサーと金払う必要のない評論家やバイヤーのためのもので、運営する人たちにとって我々一般の観客なんてどうでもいいの。だから驚かない。ほんとうに頭にくるし軽蔑するし恥ずかしいし悲しいことだ。 くそったれ。

19歳のBilly Lynn (Joe Alwyn)と彼の属する小隊は911に対する報復として行われたイラク戦での勇敢な行為(上官のVin Dieselは死んじゃうのだけど)が讃えられ、2004年のThanksgivingのNFLゲームのHalftime Show - 音楽ゲストはDestiny's Child -もちろん本人達じゃない - にお国の英雄として呼ばれて、小隊の仲間とスタジアムでのHalftime Showに参加する。

自身もいろいろ問題を抱えた姉のKathryn (Kristen Stewart)は弟の挙動にPTSDの徴候を見て医者に行くように勧めるのだが、メディア関係者、映画化を狙う人たち、政治家、いろんな人たちが寄ってきていろんなこと言ったり誉めたり喧嘩売ってきたり慌ただしいし、他の仲間はべつに平気みたいだし、ここで萎んだり錯乱したらみっともないし、とにかくいろんなことが頭をよぎって涙や汗が勝手に溢れてきて大変なの。

映画はアメリカ、としか言いようがないHalftime Showと周囲の狂騒 - その轟音や電飾や花火に突っつかれる形でBillyの頭に蘇る戦場でのいろんな記憶や妄想を交錯させつつ、戦争の、というよりアメリカの狂っているんだか正気なんだか、のあり様を描きだす。 みんながそうなのだったらその状態を「狂っている」 なんてとても言えないよね、とか。

映画史上初の120 Frame rateを使って3Dで撮られていて、なので戦場での戦闘(殺しあい)のさまも異様にクリアでゲームやVRの映像を見ているようで、Halftime Showの大騒ぎもフットボールのぶつかり合いもおなじ粒度/光度のやたら鮮明なデジタルTVのキンキンする、しかし圧倒的な経験の矢となって温厚なBillyの頭を刺激してくる。

“American Sniper” (2014)が覗きこむ敵の頭を打ち抜くための照準レンズの視野をBillyの目に置き換え、360度拡げてアメリカ全体を捉えようとする。 なんのために? それは誰も問わない。ことになっている。
なんといってもBillyは英雄なんだし。 いけないことはなにひとつないじゃないか。

“Life of Pi”にもあった、人をつき動かす(死なさず生かしておく)得体の知れないでっかいなにかを丸ごと捕まえようとするAng Leeの野望はここにもあって、それは成功しているとも失敗しているとも言えないかんじなのだが、でもそれって映画の風呂敷がやることのひとつだよね、という気がするので、なんか好きなの。

Kristen Stewart、ほんとうにすばらしい。

今晩のSeth MeyersにはLena Dunhamさんが出ていた。 すてきだねえ。
音楽ゲストはLiving Colour ...

3時間後に立ちあがってパッキングをはじめるからね。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。