10.29.2016

[log] NY Austinそのた2 -- Oct 2016

帰りの飛行機で見た映画ふたつ。

Les héritiers (2014) 『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』
パリ郊外の、割と貧しい層の子たちが通う、人種も宗教もばらばらで荒れ放題の高校のあるクラスで歴史と美術史を教えるアリスがいて、教えるのが大好きという彼女のいうことを子供たちは割と静かに聞くので、彼女は国の歴史コンクールに参加しよう、という。
テーマは「アウシュビッツと子供」で、始めガキ共は暗いしわかんねえし、とか言っているのだがのめりこむようになって、みんなでがんばってやがて一等賞をとりました、ていう実話の映画化。
実話そのもの - アリスの教育者としての姿にもいろんな境遇の子供たちの努力にも - あまり感動はしない - いやよい話だとは思うけど - のだが、歴史を学ぶ/歴史から学ぶ、っていうのはどういうことか、歴史っていうのはいったい誰のものなのか、などがとても具体的に描かれているなあ、て思った。「悲惨な歴史を繰り返してはならない」って口先だけのスローガン掲げて「自分たちにとって」都合の悪い歴史を削除しまくろうとするどっかの国の文科省連中に見せてやるべきだわ。

Criminal (2016)
ロンドンのCIA支局のBill (Ryan Reynolds) がある機密 - 米国の全ての兵器を遠隔でコントロールできるハッカー+ワーム一式 -とその見返り報酬を隠そうとしたところで敵につかまって殺されてしまうのだが、CIA側は脳外科医に依頼して死んで時間が経ってない彼の記憶を生きた人間に移送してBillの最期の記憶を甦らせようとする。
移送される側は超凶悪犯罪常習の死刑囚Jerico(Kevin Costner) で、なんで彼かというと幼い頃から脳の一部が欠損していてそこがこの手術の場合は適合するのだと、怪しげな医者(Tommy Lee Jones)は言って、この件に執念を燃やすCIA支局長(Gary Oldman)もやるしかねえだろで、こうして素行はめちゃくちゃ凶暴で血も涙もないが頭脳やスキルはCIAのスパイ並み、ていうフランケンシュタインが誕生して、彼は頭痛の波に悩まされて頻繁に勝手に再生されるBillの記憶にも悩まされて、彼の記憶が導く彼の妻と娘にも悩まされて、当然機密も確保して世界を平和にしなくちゃいけなくて、とにかく大変なの。
でも改造ヒーローもののような威勢のよさとか爽快感は全くなくて、遺された家族のところに帰ろうとする記憶とエモ、勝手に変なもの埋めこみやがって、と怒るJerico、薄汚れたおじさんの登場にひたすら怯える家族(妻がGal Gadot)、勝手な行動するんじゃねえ、て切れまくるCIA、などなどの絡み合いが面白くて、ぼろぼろのKevin Costnerもびっくりするくらいよくて、周りもみんなうまいし、拾い物でしたわ。


レコード屋、NYではAcademyの12thに行っただけで、でも我慢して買わなかった。
本屋、Academyの後のいつものコースでMast Books行って、McNally Jackson行って、本と雑誌を少しだけ。

MastではGraham Macindoeの”All the Young Punks”。
自分の持っているパンクの7inchとかチラシとか切り抜きをぼけぼけの写真で撮っているだけなのだが、なんかよいの。

Under the Radarのthe Protest Issueとか、Hillary表紙のBustとか。
http://www.undertheradarmag.com/issues/31576/

Austinは、空港内にレコード屋があってばんざいして、ホテルに入ってからGoogle mapで”Record Store” って検索したら周辺にわーっと赤いのが立ったので鳥肌がたって、こんなの、出張に適した土地とはいえませんわね。

手始めに会場から歩いて10分くらいのとこにあったEncore Recordsていうのに、ちょっとだけ抜けて行った。
お店の前に”45s for 45¢”て張り紙がしてある(7inchいちまい50円)。
ハイウェイ脇の薄暗い倉庫みたいなとこで、アパレルとかも売ってて、アナログとCDがざーっと箱から出しただけ、みたいな状態で積んであるようなとこで、品揃えは悪くなかった。けど買って帰るわけにはいかない状態だったのが少し残念だった。 あと通過するハイウェイの高架の下で半裸でごろごろしている人たちがいっぱいいて、通るときちょっと緊張したかも。

Waterloo Records空港内に出店していたのはここで、水曜日の晩、ホテルからだらだら歩いて20分くらい。
あーここあるわ、て店を見たかんじでわかるのだが、まあそういうとこ。
平屋でCD, DVDが半分、アナログが半分。中古も結構ある。
12inchと7inchを割といっぱい、ひさびさに買った。
ようやくめっけたCursiveの”Ugly Organ”のデラックス盤とか、SUMACの"The Deal"とか、"Carol"のサントラ - 10inchの2枚組とか、中古だと、昔のThe Fallとか。
7inchは、ColossalとOwenのSplitとか、Charli XCXの”No Fun”とか。

それにしてもなんか、日本に入ってきているアナログ盤の種類、少ないよね、て最近よく思う。
せいぜい週一回、Disk UnionとタワレコとHMVくらいしか行ってないくせにいうな、かもしれないし、そもそも全部輸入できるわけなんてないんだし、ていうのはわかっているけど、現地のお店に出ている分量からすると圧倒的に少ない印象がぬけない。あと値段高い。 洋雑誌とかもそうだけど、為替105円としてもなんであんな倍近い値段になっちゃうの? いつからこうなっちゃったのかしら。

つまりは洋楽は売れない、マーケットとして小さいから、ていうのがあるのだとしたら、ぷーん、だし、でもそうやっていると本当に聞きたいひとはデジタルで落としたりストリーミングで聴いたり、ますます店頭には向かわなくなってスパイラルで縮小していっちゃうよね。 別にいいけど。 ぷーん。
この傾向 - 確実に売れるのしか入らない/入れない - って洋楽だけじゃなくて洋画もだけど、これが国内のものを見よう聴こう! それでいいじゃん - の大きな志向とか流れのなかの話だとしたらつくづく気持ちが萎えて嫌になる。 やはり移住するしかないのかなあ。

とにかくなんでAustinで”Waterloo”なのかわかんないけど、すばらしいお店だった。

で、その通りを隔てた反対側にあったのがBookPeopleていう2階建ての本屋で、中にカフェがあってゆったりしていて(SeattleのElliott Bay Bookみたいなかんじ)、雑誌くらいしか買わなかったけど、いやー素敵、だった。 どっちのお店も23時までやってるし。

更にその反対側(Waterlooからみると対角線向こうの角)にはでっかいWhole Foodsがあって、これで角の3/4が埋まって、もういっこの角に映画館でもあったら、もう引っ越すしかないわ、になる。 いいよねー。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。