27日、フランス映画祭の4本目。 ここまでくると頭が変にハイになってくるの。
『夜、アルベルティーヌ』。
モノクロの97分。 昼間の3本がよい意味でばらけてカラフルだったのを見事に締めてくれる、しっとりとした夜の映画でした。
原作は映画の主人公 - Albertine Sarrazinの自伝的小説『アンヌの逃走』(1965)、87年に翻訳も出ているらしいのだが読んでいない。
50年代末、友達とふたりで宝石店に強盗に入り、脅しでピストル構えたら発砲しちゃって店員は負傷、刑務所に送られたAlbertine (Leila Bekhti)がひとり脱獄するところから始まる。
塀から飛び降りて足を折って動けなくなっているところを助けてくれたのがJulien (Reda Kateb)で、彼は彼女を家に連れて帰って、足を治療させて(でも杖が必要となる)、偽の身分証を与えて匿ってくれる。
Julienはやくざで、女も子供も複数いるようで周りからいろいろ言われるのだが、Alnertineには自分を救ってくれたJulienがすべてで、彼と一緒にいられる時間だけが輝いていて、それ以外は街娼したり文章書いたりでむっつりどんよりしている。
やがてJulienからの連絡が途絶えて、彼は捕まってどこかに流されたとか噂で聞いて、それでも彼を信じて待ち続けて、やがて。
と、こうやって書いてみると、耐えるわ待つわの昭和のど演歌の世界そのもののようだが、全体はものすごく爽やかで力強く、決して明るいエンディングではないのに、よかったねえ、と思えてしまうのだった。
Julienに会えないあいだのAlbertineの無為の日々 - かつての獄中友達と会ったり、町を歩いたり、客と会ったり、どんよりではあるものの、そこに彼女の文章(朗読)が被さることでとてもすてきな空気が生まれてくる不思議。 街角の写真家が撮った彼女のスナップ - 21世紀の映画とはとても思えなくて。 なんとなく『夜の人々』を思いだしたり。
ふたり - Leila BekhtiとReda Katebの顔がすごくよいの。 二人ともJacques Audiardの『預言者』 - "Un prophète” に出ていたらしいのだが、あの映画に出てる人たち、どいつもこいつもすごくよい顔だったからねえ。
あと、最後のほう、みんなで焚火を囲んで騒ぐところ、Garrel(家)だなあ、とか。
低気圧で死んでてデモ行けませんでしたごめんなさい。
7.03.2015
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