3.23.2012

[film] Carrément à l'Ouest (2001)

日曜日は土曜日以上に最悪で、でもどっかいかないとなんか死んじゃう気がしたので京橋に出かけて、みました。 ジャック・ドワイヨンの2001年作品、『フリーキー・ラブ!』 - タイトルはよくわからんが。  でもこれが500円なんだよ。

ヤクの売人でちんぴらのアレックスは、金払いの悪いぼんぼんをそいつの部屋で、彼女(フレッド)のいる前でどつき倒して、ちっ、て外に出るのだが、なぜか彼女のほうが後を追っかけてきて、絡んでくる。 なんだかよくわかんないまま夜のクラブに行くっつたら彼女も一緒に来るので、気があるのかと思ったら彼女はフロアにいた別の女の子(シルヴィア)を誘えとかいうので誘ってみたら、シルヴィアも変なかんじに乗ってきたので、3人でホテルに行くことにするの。

で、今の彼から離れたいとおもうフレッドと、恋人と別れたばかりのシルヴィアと、べつに愛はいらねえ金があればいいやというアレックスのじりじりもんもんした会話が続き、そうしているうちにぼんぼんがやくざを連れて乗りこんできて、アレックスの弟が対抗すべく加勢で入ってきて、ほんの少しだけきな臭くなったりするのだが、そのうちみんなに朝がやってくる、と。

昼からその翌朝までの、愛(と金)を求めてぼんやりと彷徨う約4人の若者の群像、ということでよいのか。
それにしても、たったこれだけなのに驚異的に底抜けにスリリングでおもしろいのはなんでか。

3人がホテル(安ホテルではなく、それなりにちゃんとしたとこ)に入ってからの3人の動き、それを追うカメラの動きがなんかすごいの。(撮影はカロリーヌ・シャンプティエ)

ぐさぐさの修羅場になったり乱交にいったりするわけではなく、押したり引いたりの駆け引き、誘うような誘われるような会話を続けつつ、ソファやベッドやバスルーム、エレベータホールをこまこま移動し、3人になったり、いろんな組み合わせの2人になっては離れたり戻ったりを繰りかえす。

Action Speaks Faster。 カメラの動きがまずあってその後に言葉がくる。 
「どうしてほしんだよ?」というときには既にその言葉の先のアクションが見えていて、絶妙なタイミングで返ってくるその答え、例えば「好きになっちゃったかも」は、また別の惑いと次のアクションを生んで人から人に転がっていく。 カメラの動きと連携したこの言葉の切り返しが一見ぐだぐだで煮え切らない若者たちの関係とそのなにやら切迫した様子をざっくりと切り出してくる。

ロメールの会話劇だと、言葉とアクションはぐるぐるごろごろどこまでも交錯しつつ延びていって、そのだらだら収まりのつかない感がたまんないのであるが、こっちはもっと厳格で冷酷で、あまり行き場がなくて、そのつんのめったかんじが静かな化学反応を引き起こし、別の関係や可能性を生んでいく。
でも、これって勝ち負けを決めるゲームではなくて、ゲームの手前のルールを作っているようなとこがあって、水面下で互いの像を探りあうようなそれは、恋に落ちるプロセスそのものに似ているのだった。 気がつくと外が明るくなっているのに気づく、あのかんじとかも。

あとは俳優さん - 特にまんなかの3人のすんばらしいこと。
みんなよいけど、監督の娘さん、フレッドを演じる「るー・どわいよん」- ひらがなで書くとかわいい - いいよねえ。

00年代のドワイヨン作品、ぜんぶ見たいなー。

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