8.21.2023

[music] The National + Patti Smith and Her Band

8月18日、金曜日の晩、Madison Square Gardenで見ました。

夏のライブ、昨年はLAのPrimaveraに行って楽しかったのだが今年はやってくれないようだし、そろそろNYに行きたくなってきた1月頃、チケットが出たところで買ってしまった。数日間のフェスに没頭して行ったり来たり歩きまわるのもしんどくなってきたお年頃だし、なにか入って行けなくなったら売っちゃえばよいか、くらいで。

The Nationalのライブを最初に見たのは2008年のLollapaloozaで、この時の彼らは”Boxer”が出たばかりで波に乗っていたのだったが、この日のメインはNINだったので数曲聴いただけで移動してしまった。その後は来日公演にも行ったよ、くらい。NYに渡る直前までチケットは取れたようだったが、当日にはSold Outしていた模様。

前座はPatti Smith and Her Band。前座が彼らだったから(行くことにした)、というのもあった。90年代初からライブを見てきて、年末のBowery Ballroomのお誕生日ライブも通っていたし久々に会いたくなったし。7:30きっかりに出てきて、出てきた瞬間の笑顔で、彼女はいまとてもよい状態にあるのだな、というのはわかる。

Devoふうの変な帽子を被ったJay Dee Daughertyのバウンドするドラムスから入る”People Have the Power”から、背後にRobert Mapplethorpeによる彼女のモノクロの肖像がでっかく映し出される。リリースされた当時(1988)は微妙かも、って思ったけど、いまはとてもよい曲だなー、ってしみじみ。

続けて、微笑みながら眼鏡をかけて本を取り出し、これは今年70周年を迎えるCity Lights Bookstoreの4番目の出版物です – とAllen Ginsbergの”Footnote to Howl”を読みあげる。背後にはAllen Ginsbergの写真。これに続けて、彼もまた偉大な詩人でした、とTom Verlaineの写真と共にTelevisionの"Guiding Light"を。そしてもう一人、「彼」もね、ってFred "Sonic" Smithと一緒の写真を掲げて”Because the Night”を。ここまででなんかものすごくよいの、当然大合唱になるし若者が楽しそうに踊っているし。

この後は”Dancing Barefoot”をやって“Pissing in a River”をやって、彼は50年前からずっと環境のことを考えてきたんだよ、ってNeil Youngの” After the Gold Rush”をやって、最後には”Gloria”。だいたい1時間、大好きな曲 – 何百回聴いても変な曲… って思いつつ最後は搔きむしられてぴょんぴょんはねてくるくる回ってしまう曲ばっかしだった。

これだけで終わったとしても、あの航空運賃とホテル代のもととれた、って思ったね(泣)。


続けてThe National。新譜はよかったけど、数回しか聴いていなくて、そんなんでもよいのか? ていうのもあんまわからないし、ライブも圧倒的にすごいから、って万人に言いきったり言いふらしたりする自信もないのだが、このバンドのって、なんか見たくなる。

ふつうの横のスタンド席にいたのだが始まったら周囲はみんな立ちあがって、えー立つのか.. って、でもそのうち疲れて座るじゃろう、と思ったら終わりまでほぼぜんぜん座らなかったのでなんだよ.. って少し(よいこと)。

あくまで個人的な感想でしかないのだが、エモになりそこねた文学中年 – Tシャツとかにも書いてある”SAD DAD”による中年エレジーというか変な文学で、すごいサビがあって盛りあがったり歌ったりうねったりの大技をわざと回避して、いつまでもダッダカダッダカ... 行進曲のイントロのようなのばかりを奏でて突撃前でうじうじ壁に頭をぶつけたりしていて、ラッパも鳴ったりするけど威勢よいものではなくて、Morrisseyのような変態カリスマを狙えるわけでもないし、Nick Caveみたいに客席に降りてきたりもするけど彼はNick Caveではないのでやる側も受ける側もどうしたものか、みたいなかんじになって、ステージ上で彼のマイクのケーブルを必死で手繰る人が鵜飼いみたいに必死で、でもこのアンサンブルはいつ何度聴いても瑞々しく入ってくる - 現代音楽のようなところは確かにある。

もう少しゴスに寄ったりエレクトロを入れたり売れるふうにしようと思えばできる人たちなのに、絶対やらずに、どこまでもうねっていくボトムを担当する兄弟と、その上に別のうねりを重ねて散らしたり捩らせたりする別の兄弟がいて、その螺旋のなかに閉じこめられた中年のバリトンはそんなに明るいことは歌わないし錯乱して大暴れすることもない - たまに思いついたように客席に降りてくる程度。

曲は新譜の1曲目から入って、まん中くらいに”Cherry Tree”~”Abel”が来て、本編終わり前に”Fake Empire”がくる。 アンコールは”Light Years” ~ “Mr. November” ~ “Terrible Love”の後、出したばかりの新曲”Space Invader” – どこまでもうねうねして変なやつ - を挟んで、”Vanderlyle Crybaby Geeks”の”Crybaby Cry”を大合唱して終わった。

あそこを目指そう、というより、とにかくみんな生き延びてまたどこかで会おうな、と、そんなかんじでおわった。

背後の映像、カラフルでサイケなエフェクトにバンドの映像を被せていくのは花火のようにせわしなくきれいだったが、十年前のNINのそれのようだった。もっとシンプルに歌と楽曲に集中させる落ち着きがあってもよかったのでは、くらい。

たっぷり2時間を超えて、MSGの帰りの階段の混雑 - みっしり動かない - も久々で楽しかった。
おみやげにNew Order - New YorkのTシャツと、MSGが描いてあるポスターを買って帰った。

このバンドではないが、次のNYでのライブは来年4月。それまで生きていられればー。

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