8.25.2023

[log] New York - 0318

8月18日の午後、電車でマンハッタンに戻る途中の125th St.で地下鉄に乗り換えて86thでおりてMetropolitan Museum of Artに向かう。ふつうであれば、Neue Galerieは絶対に行くのだがいまはCloseしているし、Guggenheimもそんなでもないし、それをいうならMETだってそうなのだが、でもなんかは見たいし、くらい。

途中、昔Dean and Delucaがあった場所にButterfield Marketができていた(入らなかったけど)。むかしはLexington Ave.にあったグローサリーで、野菜のクオリティが(値段も)とんでもなかったとこ。

Richard Avedon: MURALS

Avedonの生誕100周年で1969年に彼が制作した壁画のようにでっかいポートレート – 集合写真3点を、その大きさのまま。ウォーホルのファクトリーのメンバー、ベトナム戦争を起こした政治家たち、ベトナム戦争に抗する者たち、など。このあたりからポートレートの意義やありようも変わっていって、こんなの今の若者たちが見ても広告写真としてしか見ないんだろうなー、とか。

Berenice Abbott’s New York Album, 1929

ヨーロッパ滞在を終えて母国アメリカに戻ってきたBerenice Abbottが、到着した1929年のNew Yorkになにかあるかも、と感じて、写真機を携えて変わろう(生まれよう)としていた「都市」を撮りまくった結果 - 266枚の小さなモノクロ写真たち。のちに”Changing New York” (1935–39)に結実する前のデモテープのような草稿のような作品群だが、彼女がなにを見て、なにに驚いていたのかがよくわかる生々しいドキュメント。他にWalker Evansの肖像とか、よかった。

あと、西洋絵画の通路になぜかFrederic Leightonの“Flaming June” (1895) が飾ってある。君は7年前にロンドンのLeighton Houseからプエルトリコに戻っていったのではなかったか?

Cecily Brown: Death and the Maid
Cecily Brown (1969 - )の50点。古典絵画や写真からの影響がわかりやすくわかるものからイメージが飽和して形と境界を失いぐちゃぐちゃになったもの – そうやって積まれた肉片の彼方や隙間に透けて見える死、などについて。ものすごい引力があって捉えて離さない。よかった。

In Praise of Painting: Dutch Masterpieces at The Met

METにあるオランダ絵画の古典を寄せて纏めたやつ。ただの館内改修対応だった。

Van Gogh's Cypresses
混んでいたからか館内の展示口近くで別途予約が必要で、QRコードからエントリーしたら120分後、とか言われたのでやめた。こんななら時間指定のチケット出せばよいのに。

ここからバスでLincoln Centerの方に行って”Passages”を見た。 映画館の裏手のGourmet Garageはまだあったので、スイカのジュースを買ってのんだ。


19日の土曜日、この晩、25:40にはJFKを発たなければならない。

朝、Morgan Library & Museumに行ったらまだ開いていなかった(10:30オープン)ので、近くのNew York Public Libraryに行ってまだ見ていなかったプーさんのぬいぐるみなどを見る。Hip Hop 50の図書館カード、ほしいなー。

Into the Woods: French Drawings and Photographs from the Karen B. Cohen Gift

19世紀のフランスの森や自然を描いたドローイングや写真を集めたもので、なんでこの時期の森などがそんなに魅力的なものに見えてしまうのだろうか。それは自然や森に対する人間の見方や接し方が変わってきたからなの、というのをわかりやすく。 というかフランスの森っていいなー。イギリスの森もよいけど。

Ferdinand Hodler: Drawings—Selections from the Musée Jenisch Vevey
スイスのMusée Jenischからスイスの象徴主義、世紀末画家のFerdinand Hodler (1853–1918)のドローイングを中心とした小規模の展示。なかでも恋人Valentine Godé-Darelの闘病から死に至るまでの肖像など。シンプルで粗いタッチのぶん、痛ましさが伝わってくる。

Bridget Riley Drawings: From the Artist’s Studio
Bridget Rileyは、Heyward Galleryでの大規模回顧展で見て好きになった。目の前で見ると画板上のキズとか歪みとか、そういうのがとてもキュートで、描かれている線の軌跡や揺れと併せてめろめろにやられる。

ランチはRubirosaっていうとこでピザを。アルグラの葉っぱ、辛めのトマトソースで食べるカラマリのフライ、縁がばりばりクラッカーのようにせんべいのように固いNYのぺったんこピザ。この3つがあればいつだってごきげんなので、この3つを食べてため息。日本にもイギリスにもこいつらはいない。

そこからいったんQueensに荷物を置きにいって、BrooklynのGreenpointに向かい、Oak St.から少し南に移転したAcademy Record Annexに行った。Brooklynでは3箇所め。引越し祝いでなんか買おうかと思ったけど、結構疲れがきててあんまなかったので買わず、よいこだった。

そこから更に地下鉄でCarroll Gardensの方に向かい、本屋 – Books Are Magicを覗いて(買わなかった)、17:00のオープンの頃にワインバー(だと思う)のAnaïsに入る。

ワインもお酒もほぼ飲めないのだが、ここにはワイン棚と本棚があって、ワインを買うように古本を買うこともできる。
古本、店の名前の由来であろうAnaïs Ninを含む20世紀前半の欧米作家の小説、詩、画集・写真集も少し、本のセレクションは個人的にどまんなかで、しかもどれもだいたい$10くらいで安いの。(本棚の奥にAnaïs Ninに引っかけたのかTrent Reznor氏の似顔絵が貼ってある。だれが描いたのかは教えてくれず)

更に店内にかかっている音楽がPavementにGuided by VoicesにWilcoにLCDに、90〜00年代の極上のくずみたいのばっかで、陽がたっぷり射してくる明るい店内でワインとチーズと古本にこの音楽って、地元にこんな店があったら毎日通うし、自分がお店開いていい、って言われたら絶対こういうのやる/やりたい、っていう見本のようなお店だった。5冊くらい買ってしまったが、酔っぱらってしまったら相当やばい。

旅の終わりは更に地下鉄で奥地に入り、Prospect Parkでやっている毎年夏の野外コンサートシリーズ - Celebrate Brooklyn! でJohn CaleとTomberlinのライブを。19:30からのTomberlinはバンド編成でゆったりたっぷり1時間。夕暮れの公園の森にふわーんと響いてよいかんじ。John Caleは飛行機もあってぜんぶ見れないことはわかっていたので、前の方に行って4~5曲くらい。

2018年にロンドンで見た時よりも音はより重く荒れてやかましいギターががりがりと鳴っていて、これが81歳のおじいさんの音かよ、って。 あとでセットリストをみたら、ここを出てすぐくらいのタイミングで”Heartbreak Hotel”をやっていた..  

最後の最後に地下鉄にやられたりしたが、なんとか飛行機には乗れて、月曜の朝4:30に羽田について、そのまま自宅からふつうに(はならないけど)お仕事した。

これで楽しかった夏休み報告はおわり。 次の4月のライブに向けて、それまでは生きのびたい。

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