8月21日、土曜日の午後、渋谷から日比谷に移動してみました。
新作映画あれこれを見れていないので移動やむなし。 ゲームの世界のことはやったことないし全くわからない - アニメーションだったら”Wreck-It Ralph” (2012)とかあったけど、これは実写で、予告を見るとまるで漫画だし、Ryan Reynoldsだし、どうしようかな、だったのだがこれはRom-comだというので、見る。
Free Cityっていう架空の都市にゲーム参加者が入っていろいろやるゲーム(たぶん)の世界で、Guy (Ryan Reynolds)は銀行の窓口係をやってて、ゲームの背景(モブキャラ)として毎日決められたことを繰り返したり言ったりするだけの毎日を送っていて、別にそこに不満はない。ところがある日、向こうから”Fantasy”を口ずさみながら歩いてきてすれ違ったMolotovgirlというヒーロー型のプレイヤーキャラにときめいてしまったGuyは、ヒーローになれるサングラスを手にいれて、失敗を繰り返しながらもヒーローのような動きができるようになっていく - 彼女に会いたい - 近付きたいという一心で。
ゲームを管理している側は、そういう行動属性を持たないはずのモブキャラが勝手に動きまわっているので、これはバグかしら? って潰そうとするのだが、ここでも彼は想定外の動きで逃げ回ってうまく捕捉することができない。なんだこいつは?
現実の世界では、Keys (Joe Keery)とMillie (Jodie Comer)のふたりが学生の頃に自分たちが開発したプロトを盗用してこのゲームを作って儲けているゲーム会社社長のAntwan (Taika Waititi)を訴えるべくその証拠を探していて、MillieはMolotovgirlというプレイヤーになってゲーム世界を内側から漁り、Keysはゲーム会社の運用側でゲームの世界をモニタリングしたりMolotovgirlを助けたりしているのだった。
そのうちGuyはなんとかMolotovgirlに対面できるところまで自身のレベルをあげて、距離を縮めながらふたりで手を組んで内部の機密にあと一歩に届いたところでAntwanに察知されて、Antwanはゲーム運用側にはとにかくGuyを消せ、っていう指示を出して、ゲームの外ではなんか知っているに決まっているKeysに小賢しいマネすんじゃねえぞ、って脅してすべて帳消しにしようとするのだが、単なるモブキャラの変な挙動はゲーム・コミュニティでも話題となって、他のモブキャラの動きにも影響を及ぼし始めて…
少しネタバレすると、Guyは学習しながら進化していくAIとして作られていて、それがMolotovgirlとの恋(ここにも謎が)によって暴走して無敵になっていくの。Guyを作ったのは誰なのか? そしてなんで? ていう恋の – そう、恋の話と、終盤のサーバー壊してもなにがなんでもGuyを消せ、っていう話と、果たして盗用の証拠は見つかるのか、っていう話が絡みあってラストになだれこんでいく。
現実世界のRom-comで「僕は君と出会うために生まれてきたんだ」なんて言葉はもう陳腐すぎて使えないかもだけど、ここではゲーム内のAIがそういうような決め台詞を吐きやがって、それがゲームのなかだから見事に決まってしまう。今後、ゲーム内部でこのセリフを使ってナンパするバカが出てきたっておかしくないであろうくらい。自分がAIであることを自覚したAIこそが最強、ていうのは古代SFからずっとあるテーマだが、そこが見事なタイミングで的確に機能していて、やりやがったな、って。
それにしても、これはRyan Reynoldsの勝利としか言いようがない。彼のプレーンでスタンダードな、モブキャラとしての顔や挙動や台詞回しが見事にはまっている。少し前だとここのポジションはJim Carreyだったのかも。記憶や学習からどこまでもちゃらちゃら遠くに逃げようとしつつ、最後に振り返ってなんか言って決める奴。
続編は、ゲームのなかのGuyとの恋がよすぎて(そりゃそうよ)抜けられなくなったMolotovgirlに現実世界の彼が嫉妬して or GuyがMolotovgirlとずっと一緒にいたくてストーカーのようなモンスターになって、っていうよくある話かしらん。 それか”Matrix”のあれみたいなのが..
あとね、これは他のスパイものとかでもいつも思うことだけど、サーバーを再起動したら消せるとか、サーバールームに入ってサーバーを物理的に壊したら消せるとか、そんなの10年前のお話だからね。
ムーミンの件、思ったより早く決着してくれたよう(だよね?)でよかった。 ムーミン谷を守る民があんなに出てきたのはちょっと嬉しかった。敵はまだまだいっぱい。
8.24.2021
[film] Free Guy (2021)
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