11月25日、月曜日の晩、BFIで見ました。BFIでは10-11月にShirley Clarkeの小特集 “American Independent: A Focus on Shirley Clarke” : “The Connection” (1961)とか “Portrait of Jason” (1967) とか“Ornette: Made in America” (1985)とかその他中短編たくさん - をやっていて、自分としては何が何でも必見、のはずだったのだがいちいちしょうもない予定とぶつかってどうしようもなくて、結局見れたのはこの1本だけだった。
6月にBarbican Cinemaで行われた特集- “Bebop New York”でも当然のようにかかっていたShirley Clarkeの代表作。 上映前に彼女の娘のWendy Clarkeさんによるイントロがあった。 この作品は映画のことがまだ何もわからなかった自分(まだ10代だったそう)にとってキャスティングから撮影終了まで映画製作のプロセスに一通り関わることができた最初の作品で、キャスティングで地元の子供たちといろんなやりとりをして遊んだのはよい思い出だった、と。(でもあの子たちってみんな地元のギャングの子供たちだって後から聞かされた.. とか)
The Library of Congressのとてもきれいな35mmフィルムによる上映。プロデュースにはFrederick Wisemanの名前がある。原作は59年のWarren Millerによる同名小説で、翌年にMillerとRobert Rossenによって舞台化されてフィラデルフィアとNYで上演されている。
60年代のハーレムで、そこの通り沿いに暮らす若者たちのいろいろ - バスで遠足に行ったり、ギャングになりたくて偉そうなのに寄っていったり、銃を手にしたり、ストリートとアパートの屋内を行ったり来たりしつつ、大勢の若者が集まると粋がりの諍いが始まってやかましくて - といった片隅のドラマがcinema veritéスタイルのライブ感たっぷりで活写されていて、そこにMal Waldron – Dizzy Gillespie 演奏による楽曲が重ねられると、バカみたいだけど”The Cool World”としか言いようのない世界だわこれ、とか思う。 原作が書かれた59年にこんなふうに形容される”Cool”って既にあったのだろうか? ジャズがかかっているところ以外の喋りのパートは声が後からあてられていて、たまにぷつぷつ鳴る音も入って、そういう突っかかりも含めてリズムが刻まれて、そのリズムの向こう側に世界が広がっているかんじ。そこの湿度はどれくらいで風が吹くとどんな匂いがしてどんな音が聞こえてきたのか、夜が近づくにつれて季節が変わるにつれてそれらはどう変わっていったのか、アパート長屋は水漏れとか断水とか停電とかそういうのはなかったのかしら、とか、そんな想像の世界に連れていってくれるかどうか、が自分にとってのThe Cool Worldになるかどうかの境目で、それらも含めてかっこいいとしか言いようがない。30代前半でこんなのをさくっと(そんな気がする)作ってしまったところも含めて。あと、“Bebop New York”でも取り上げられた当時の監督たち、アーティストとの交流とか、どんなだっただろうねえ。
あと、アイスクリーム・トラックのチャイムって、この頃から既にあの音だったのね.. とか。
12.02.2019
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