7.12.2018

[theatre] Joseph Morpurgo: Hammerhead

7月5日の水曜日の晩、SouthbankのQueen Elizabeth Hallの横にくっついているPurcell Roomていう小ホールで見ました。

演劇なのかパフォーマンスみたいなもんなのか、Joseph Morpurgoという妙な名前のひとがどこの何者なのか、ぜーんぜん知らないわからない状態で、おもしろいよ! とか宣伝文句にあった(まあ、つまんないよ! はないよね)から 、その程度で。予習しないで見るのも楽しいから(ものによっては)。

入ってみたら最前列だった。
ステージには折りたたみ椅子がひとつと小さな卓がひとつ、背後には、やけくそっぽい”THE END”ていうネオン文字が。

時間になるとJoseph Morpurgoさんがやあやあって出てきて、衣装は汚れた包帯みたいなぼろぼろで、目の周りを隈取りメイク(KISSのPeterみたいな)してそのメイクも少し剥げ落ちてややくたびれてて、どういう設定かというと、彼の一人芝居 –  “Frankenstein”(全長9時間)の終演後のQ&Aタイムで、おしゃべりの後にはチーズとワインも用意してあるのでみんな楽しんで帰ってくれたまえ、というもの。

最初の方はお約束で客席からの花束とかいろいろ(事前に客席側にあれこれ仕込んでいる)あって、彼も上機嫌で「うん、それはいい質問だね」とか応えたりしているのだが、だんだんに的外れだったり自分都合(あたしの誕生日だからなんか言って、とか)だったりの質問とか注文が増えてきて緩やかにいらいらし始めて、更には「あなたはわたしが昔養子に手放した子なの。お母さんよ!」 - でもそれは彼にじゃなくて会場の係員に対してだったり、こんなふうに客席側も容赦なくてぜんぜん止めなくなってくるので、自分から苦労とか工夫とか語り始めたり、それならばとTwitterやSkypeからの質問のほうに切り替えて逃げようとしても余計に酷くなるばかりで、ついにぶち切れて頼むからいまみんなが見た芝居についての質問にしてくれって懇願するのだがやめられないとまらない。これでだいたい1時間、最後はなんでかSamuel Beckett DJ Squad、みたいのでがんがんのダンスフロアになって唖然、とした状態でおわるの。

客席からの質問(への受け応え)とか背後に映し出すスライドとか映像とか相当周到に作り込んでいて、その切り替えも自分の手元で全部やってて、激怒して客席にまで乗り込んでいくアドリブとかも含めて、底なしノンストップの自虐ネタを次々と繰り出してきて、見ているこちらの笑いも止まらなくなる。

多分、日本の芸人さんにもこれくらいのことをする/している人はいるのだろうが、こういう執拗で血も涙もない系の虐めを眉ひとつ動かさずに笑いに転化させてしまう芸、更にそれを延々無意味に反復してカフカとかベケットみたいな不条理劇みたいなとこにまで落とし込んでみせるのって、英国とか西欧の方が秀でている気がする。(たぶん自国故の偏見が入っているのだと思うけど、日本人の自虐ネタって底に陰湿ななにかがあるようであんま笑えないの)

あと、みんなの餌食にされてしまう彼の扮しているのがFrankensteinが創りだした化け物だというのは、案外深い意味とかあるのかもしれないのだが、そこに行く手前でぜんぶ粉砕されてしまうようで、それもまた哀れで涙を誘うのだった。

こっちで映画とかの上映後のQ&Aに出ることが結構多くなったのだが、本当におもしろくて当たりだったのってあんまないかも。 日本のQ&Aもそうだけど。 こういうQ&Aだったらおもしろいのにねえ。

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