6月24日、日曜日の午後にCurzonのBloomsburyで見ました。
ドイツ映画で、オリジナルの題は” Aus dem Nichts”。”In the Fade”のタイトルはQueens of The Stone Ageの”Rated R”に入っている同名曲から取られたもので、映画のスコアもJoshua Hommeが担当している – というのを後から知った。それくらい音楽は地味で、この曲すら流れなかった気がする。
2017年のカンヌの最優秀女優賞、2018年ゴールデングローブの外国語映画賞、などなどをいっぱい受賞している。
冒頭は獄中にいるNuri (Numan Acar)とやんちゃぽいKatja (Diane Kruger)の幸せそうな結婚式の様子で、そこから数年後、Nuriは出所してハンブルグに事務所を構えて、ふたりの間には5歳の男の子Roccoができてて幸せそうで、ある日、Katjaがパパの事務所にRoccoを預けて晩に戻ってみると事務所の周囲には非常線が張られて大騒ぎになっていてNuriとRoccoは行方不明で、やがて事務所に仕掛けられたネイル爆弾によりNuriとRoccoは亡くなったことが(DNA鑑定で)わかる。
どん底に叩き落されたKatjaに捜査チームは容赦なくNuriのドラッグ取引をやっていた前科や事務所の帳簿操作の可能性(などによる報復とか)を疑ってきたりするのだが、やがて目撃証言からネオナチによるヘイトテロ(Nuriはトルコ系移民)の線も浮上して、もうどうでもいい、となにもかも嫌になった彼女が自殺しようと両手首を切ったところで、やはりネオナチだった、容疑者を捕まえた、と連絡が入る。
映画の後半は裁判での検察 - 被告男女2名の間の熾烈な、これもKatjaにとっては出口がなくきついばかりの論戦とか互いの証拠の潰しあいで、もはや憎悪と自棄の塊りとなった彼女にとって更にひどいことに証拠不十分で容疑者たちは釈放、という判決が下りてしまう。
この先、死人も同然の抜け殻になってしまったKatjaがとった行動については書きませんが、幸せだった三人家族の思い出(頻繁に挿入される)を抱えこんで動けなくなってしまった彼女にとってはもうあれしかなかったのだろうな、と思わせてしまう映画の過酷かつ周到な追い詰めかたはあるとしても、やはりこういうテロやヘイトで全てを失ってしまった被害者の居場所とか、なぜこういうのっていつまでも無くならないのだろうか、とかそちらの方ばかり考えてしまう - というのは決して悪いことではない、はず。 “Inspired by actual event”と出たように、これと似たようなことは今もいくらでも起こっていることだし、これに関して日本は決して対岸の火事ではないし、などなど。
というのとは別に、ひとつのドラマとしてどうかというと、更生したとはいえ元極道の妻で、脇腹に愛するNuriの顔姿の入れ墨(途中まで)を彫ってて、耐え難い悲しみを紛らわすためにドラッグに手を出して、メカには強くて説明書見れば爆弾くらいは作れてしまうKatjaの動きが最後にああなってしまう、のはどうかしら? ていうのは少しだけある。Mad Maxをやってほしいとまでは言わないけど、Diane Krugerさんが目一杯がんばっているだけに、ちょっとなー。 いやそういうのも含めて”In the Fade”になってしまうこの閉塞感とか闇とかを見るのだ、と言われるのなら、黙るしかないのだけど。
QOTSAの*In the Fade*では、“Live till you die, I know”ていう詞がそっけなく反復されるの。
RIP Robby Müller..
映画を見るようになって、初めて映画のカメラ - 撮影監督というのを意識させてくれたのは彼だった気がする。
ご冥福をお祈りします。
7.04.2018
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