5日、金曜日の晩、Pictuehouse Centralで見ました。売り切れてた。
スポーツ(モーグル)から入って博打(ポーカー)の話になって、お金持ちとかギャングの話になって、その側道には裁判が流れていく。どれも自分のこれまでの人生とはまーったく縁のないちんぷんかんぷんな世界なのだが、映画はおもしろかった。
Aaron Sorkinの初監督作で、脚本家としての彼の仕事って、”The Social Network” (2010)も、“Moneyball” (2011)も、“Steve Jobs” (2015)も、独特の閃きとか拘りとかナラティブを持った個人(変なヒト)が周囲とぶつかったり顰蹙買ったりしながらもぶつぶつ道を切り開いて成功するお話しで、この作品も極めてAaron Sorkin的というか、彼にしか書けないような脚本(物語というより分厚い台本が浮かんでくる)で出来ているのだが、これは勝者というよりは敗者の話で、主人公は男性ではなくて女性である、と。
原作はMolly Bloomの回顧録で、本の正式タイトルは”Molly's Game: From Hollywood's Elite to Wall Street's Billionaire Boys Club, My High-Stakes Adventure in the World of Underground Poker”で、このタイトル通りの内容なの。
スキーのモーグル選手としてオリンピックの一歩手前、ジャンプする一歩手前でちっちゃい木の枝に躓いて全てを失ってしまったMolly (Jessica Chastain)が、その数年後、どよーんとした状態でLAに移って、バイトみたいなかんじで西海岸の大金持ちが現れる闇ポーカーの賭場で働き始めて、そこで客の特性と挙動、ゲームの流れと金の動きあれこれを把握してやがて自分の賭場を開いて転がしてみたら成功して、LAの次にはNYに飛んで、ていうのし上がっていく話と、ある朝FBIにしょっぴかれ、なんとか弁護人(Idris Elba)を見つけて裁判で戦うために振り返っていく後ろ向き話を交錯させながら、それ自体がでっかいスポーツなのか博打なのかわかんないけど、伸るか反るかやったれ、になってしまったMollyの人生(Game)を追う。
これまでのMark ZuckerbergにしてもBilly BeaneにしてもSteve Jobsにしても、どっちにしても真似できねえわ、というところは同じなのだが、彼女の人生そのものよりも延々喋り続けるMolly = Jessica Chastainの都々逸というか浪花節というか、ものすごい勢いでずーっと喋る(たまに解説の図式とか入る)ところに痺れる。”The Social Network”のMark Zuckerberg = Jesse Eisenbergの喋りもすごかったけど、こっちもすごい。あれだけ喋れるのであれば少なくとも負けないよね、て思うし、やがてそれは弁護人にも乗り移って喋ったもん勝ち、ラップ・バトルみたいになってやっぱりそういうもんかー、とか。
あとは幼いころからMollyにプレッシャーを与え続けた父親(Kevin Costner)との確執~和解も描かれていて、野獣のような男たちが支配する闇社会に女子が切り込む話と、でも最後には父親が見ていてくれるから、みたいな父性の話にもなって、なんだ結局は男の話かよ、ていうところが少しだけなー。 フィクションでもいいから緋牡丹博徒みたいのにしてほしかったな。Jessica Chastainならできるのにな。
あと、賭場に現れる謎のセレブ - Player Xを演じたMichael Cera、セレブのオーラなんて微塵もないとこがかえって凄みを感じさせてなんかよかった。
あと、みんなすごい大金をじゃぶじゃぶ賭けまくってそれがなにか? みたいな顔しているので、£100くらいの本やレコードで汗をかいたり震えたりしていてはMollyに笑われるよね、ておもった。
これの字幕作るひと、大変だよねえ。
1.11.2018
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。