12日、金曜日の晩、公開初日、日本に出張いく直前にPicturehouseで見ました。
Winston Churchillの評伝映画で、既にWinston Churchill = Gary Oldman氏はいろんなのの主演男優賞を獲っていて、それは”Three Billboards…”で助演男優賞を総ナメにしているSam Rockwell氏同様、圧倒的で問答無用すぎるので、みんな見てね。くらいしか言うことはないの。
1940年の5月、ナチスの侵攻が英国に及んでくるのは時間の問題として見えていて、時の首相 - Neville Chamberlainでは弱すぎて戦えないので交換を、となってNevilleが後任に据えたかったLord Halifaxがまだ(いやだ)、と言ったので(他にいないからしょうがない、というかんじで)Winston Churchillが首相になるところから始まる。
そこで新たにChurchillの秘書になったElizabeth Layton (Lily James) は初日からひどい扱いされて(あたしはシンデレラだったのに..)泣かされて、でもChurchillの妻Clementine (Kristin Scott Thomas)が彼のことを叱ってくれたので仕事は続けることにして、映画は近代史観点での Churchillの動きと、Laytonや国王George VI (Ben Mendelsohn)との交流を通して少しだけ見える彼の苦悩とか変態ぶりとかを追い、そこに戦争の動向 – DunkirkやCalais – をぶつけて、イタリア経由で交渉のテーブルにつくのか断固戦うべきなのか英国を焦土にするつもりか? の旧勢力のねちねちと戦い、最終的にあの有名な大演説になだれこんで、やんやの喝采を浴びてぜんぶひっくり返して、あとはご存知の通り。
英国近代史とか知らないしどれが事実なのかどうなのか調べてなくても調べる気にならなくても、それでも十分におもしろく見ることができたのは、伝説もいっぱいあるだろうし本当にあんなふうだったのかわからないけどとにかくよい意味ででっぷり変てこで目を離すことができないChurchill = Gary Oldmanの表情とか挙動がおもしろいから、としか言いようがない。
King George VI("The King's Speech” (2010)のKingね)から市民の声を聞くように、て言われたので車から降りて地下鉄に乗りこんで(District LineのSt.James’s Park駅からWestminster駅までの一駅ぶん)、そこに乗り合わせていた人たちひとりひとりの声 - ファシズムなんて糞くらえ! - を聞いて、そのままオフィスに走りこんでLaytonをひっつかんで一気に原稿を仕上げて、そのまま演説になだれこんで思いっきりぶちあげるとこ、この流れがスリリングで手に汗にぎる。 これが”Darkest Hour”に風穴を開けて潮目を変えたのだ、と。
それが糞みたいな自分本位の妄言しか言わない幼稚な政治家がでっかい顔して、そこに乗っかる御用提灯メディア肥溜めの腐臭ぷんぷんにうんざりしすぎて疲れきった − “Darkest Hour”てのはまさに今の、こっちのほうだわ − 我々の状況を極めて巧みにくすぐっていることは十分承知の上で、いいなー、でよいのだと思う。 わたしはなんであれ戦争絶対反対なのであの言説のなかみは微妙だと思うし、これが変なふうにいまの国威を持ちあげてしまいませんようにと願う者だが(とくに、ここで言われている脅威と最近の日本で言われる「脅威」を並べるんじゃねえぞ愚かな「論客」とやら)、起こってしまったことは.. というずるい逃げ方をしつつ、この映画はそんなに悪くないかも、と言おう。
Churchillが指揮をとったWar Roomって昨年の春になんかの集まりがあって行ったのだが、改めてちゃんと見に行かなきゃ、と思った。
あと、Churchillのとこの猫1匹、KingのとこのKorgie1匹 - すげえかわいい - が出てくる。Churchillをこいつら獣と並列に置いて、吠えたり身震いしたりおろおろしたりするのを眺める、ていうのもありかも。
金曜の晩、22時開始の会で満員ではなかったけど、それでも終わったときには拍手と歓声があふれた。 きっと翌土曜日はわーわー盛りあがったことじゃろう。
1.23.2018
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