11日金曜日の晩、BFIで見ました。
"Gross Indecency"の特集とも関係あるし、Joe Ortonが殺されて50年、これがリバイバルされて(他の映画館でも少しだけ)、彼の戯曲の映画化作品も別の特集で上映されている。
67年の8月9日、一緒に住んでいたパートナーのKenneth Halliwell (Alfred Molina)によって頭部を9回ハンマーでぶん殴られて34歳の若さで殺されてしまったJoe Orton (Gary Oldman)とKenneth、ふたりの青春を描く。 (Kenneth Halliwellも殺害直後に睡眠薬をグレープフルーツジュースでがぶ飲みして自殺)
映画は死後遺されたJoe Ortonの日記を彼のエージェントであるPeggy Ramsay (Vanessa Redgrave)が後の日記編纂者でありこの映画の原作を書くことになるJohn Lahr (Wallace Shawn)のところに持ち込んで、遺された彼らの視点や考察も交えつつJoeとKennethはなんであんなことになっちゃったんだろうねー、を追っていく。
JoeとKenneth(のが7つ年上)は一緒にRADA (the Royal Academy of Dramatic Arts)に入って演劇を学んでいくのだが、最初から演技も含めて天才肌で注目されていたJoeとエキセントリックなノリが(たまに)ウケたりしているKennethは意気投合して、やがてIslingtonのフラットに一緒に住んで共作したり図書館の本に悪戯(写真を貼りつけたり)して半年間投獄されたり、いろんなことをしていくようになる。 刑務所にいる間に書いた戯曲が当たったり、Beatlesの映画の台本を書くオファーが来たり時代の寵児になりつつあったJoeに対して、Kennethはぴったりくっついて共同制作者だから、といちいち口を挟んだりするものの彼の方に陽は当たらなくて、その辺の嫉妬も含めてふたりは夫婦のようになっていくのだが、Joeはそんなのお構いなしにどこまでも奔放で、薄暗い公衆便所での見知らぬ男たちとの逢瀬を重ねたりしていて、その辺もあってKennethはだんだんにおかしくなっていくの。
というふたりのいろんなエピソードを演劇を見ているかのように、あるいは小さな覗き窓からちらちら見るように見せていって、まだぴちぴちしたGary Oldmanの怖れを知らない不遜な天才ぷりとその横で焦ったり苛立ったりして頭髪を失い戻りようのない怪物になっていくAlfred Molinaの、それでも楽しそうなふたりに見えてしまう押したり引いたりの応酬がすばらしい。 これ、描きかたによってはふたりのゲイのすごく陰惨で暗い情念のドラマにもなりうると思うのだが、そうではない、それこそJoe Ortonの戯曲みたいにブラックなどたばたに仕上げていったのは正解だとおもった。
あと、時代的には80年代モロ、のノリにする方向だってあったはずなのにその辺は周到に回避しているかのよう。 Stephen Frearsえらい。
で、おもしろかったので売店で売っていたJohn Lahrによる"The Orton Diaries"をめくり始めて、並行して特集"Orton: Obscenities in suburbia"もぽつぽつ見たりして、なんかこのひとすごいわ、なのだが、このへんはまたあとで。
それにしてもGary Oldman、Joe Ortonの前にはSid Viciousを演じてて、George Smileyもやって(実在のひとじゃないけど)、もうじきWinston Churchillまでやるって、なんかすごいねえ。
8.15.2017
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