19日、月曜日の晩にBFIで見ました。
6月いっぱいどっかで開かれているLondon Festival of Architectureの一環としてBFIで"This Was Tomorrow: Broadcasting the arts - Architecture on TV"ていう過去の建築に関するTV番組アーカイブを束ねた特集上映をやっていて、そのなかの1つ(3本の短編をまとめて)。 そういうイベントがあるのも特集をやっているのもこれを見にきてから知ったのだが。
King's Collegeの教授で “Brideshead and the Tower Blocks” (1988)の監督でもあるPatrick Wrightさんによるイントロがあった。
ここでは英国の二次大戦後の建築、というより住宅政策のふたつの相反する方向性とそれが作りだした都市のイメージについて考察しています、ここにこの間発生したGrenfell Towerの火災を重ねてみると、いろいろなことが見えてくるはず、などなど。
Brideshead and the Tower Blocks (1988) by Patrick Wright. 40min.
イーヴリン・ウォーの『ブライヅヘッドふたたび』が出たのが1945年、戦後、その舞台となったBrideshead Castleを始めとする横に長く伸びる貴族の栄華を象徴する住居建築は(貴族そのものと一緒に)凋落の一途を辿り、かわりに縦に長く伸びたタワーブロックが都市部の住宅政策のなかから登場して、これと並行してNational Trustとかが主導する旧型の住宅を文化遺産として壊さずに保護修復しながら使い続ける動きもあって、その結果としてものすごく古い外観の建物の周辺を高層のタワーブロックが囲む、そういう形の都市が形成されてきている。 それぞれが抱えるいろんな問題を関係者証言と共に記録している。
Hackney Marshes (1978) by John Smith. 32min
ハックニー地区の原っぱとかサッカーグラウンドを見下ろすところに建てられた高層住宅コンプレックス - というか日本だと団地群、の住民へのインタビューとかその暮らしをスケッチしたもの。
こういうの、いつの時代のどこの場所の、なに聞いてもおもしろい。 不満不平とかが噴出するのは当然として、それでもこんなふうに暮らしているんだー ← つっこみどころ満載で、でもこれって誰にもどうすることもできないよね? みたいな問題のありようを示す。
撮影時から40年が経とうとしていて、今彼らはどこでなにを? ていうのは当然おもうこと。
The Kids from the Flats (1984) by Julian Ashton. 26min
これも同じようにChelsea’s World’s End Estate - Vivienne Westwoodのお店の近所 - うちからも割と近所 - に暮らす10代の子供達の夏を描いたもので、コミュニティでのいろんな活動 - 沢山のスポーツとかダンスとかミスコンみたいのとか16歳のママとか、住宅問題というより子供達の笑顔や走ったり跳ねまわったりする姿が印象的で、それはこういう長屋構成だから、なのかしら。 彼らも今はもう40代になっているはずで、元気であってほしいなー、とか。
Grenfell Towerの火災で顕在化した老朽化したタワーブロックの問題は、たんなる耐火壁の不備というだけでなく、貧困層の切り離しではないかとか、実際に住んでいる/住んでいた人々をこれからどうしていくんだとか、いろんな方面に飛び火しつつあるが、これらの、建てた後で人を囲って寄せてそのままにしてしまうとなんかやばいのではないか、という意識は70~80年代からあったのだな、ということがわかる、ていうのと、これって、日本だと「団地」,「ニュータウン」問題にそのままなるよね - 地方の空洞化や少子化との複合なので「ニュータウン」のありようそのものが問題としてクローズアップされてはいないのかもしれないけど。
あと、自分で物件を2ヶ月くらい探してみて、ロンドンの住宅のへんなかんじは少しわかった気がしたので、なるほどなー、だった。 大きな二択としてヴィクトリアン・スタイル(て言ってた)の古いフラットをリノベしたのするのか、割とモダンで設備が整っていてフロア数もあるアパートにするのか、があって、それぞれ全然ちがうので散々悩んで、結局日本では住めないようなかんじのとこにしてみよう、と今のところにしたのだが、まあいろいろあっておもしろい。 まだおもしろがっていられる余裕がある、というか、ずっと住むのとは別だから、というのがあるのか。住むのと考えるのとは別 … なのかなあ? でもとてもよい上映会でした。
6.26.2017
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