27日木曜日の晩、Chelsea (Kings Road)のCurzonで見ました。
40年代、戦時下のロンドンでプロパガンダ映画を撮ろうと奮闘する人々のドラマで、これも後年には(Brexit絡みで?)プロパガンダ映画、て呼ばれることになっちゃうかもしれないやつ。 けどなんかよかった。
Catrin (Gemma Arterton)は秘書の仕事を貰いにMinistry of Informationに行ったのに政府直轄のプロパガンダ映画製作のチームでスクリプトを書くことになって、同じ部屋のTom (Sam Claflin)とタイプを叩き合うことになるのだが、いろんなとこからいろんな注文や横槍が入ってくるし戦局は厳しくなっていくし、スペイン内戦で足が不自由になった画家の夫もいるし、ほんとに大変なの。
映画はダンケルク撤退作戦のときに父の漁船で救出に向かった双子の姉妹の冒険を描こうというもので、父親役としてオファーが行ったのがかつてのスター、Ambrose (Bill Nighy)で、最初は落ち目になるっぽいしと乗り気ではなかったのだがやってくれることになって、みんなでがんばって手作りの撮影を進めていく。
ダンケルクの話があって、突然やってくる空襲とか地下鉄のホームに避難するところとか、女性が主人公だったりとか、コニー・ウィリスの『ブラックアウト』を思い起こしたりもして、実際にCatrinがひとり奮闘するさまは、現代の女性が過去に潜っていってなにかを変えようとしているかのように見えなくもないのだが、それは考え過ぎというもので、戦時下のちょっと柔らかめのコメディとして見るのがよいのだろう。
それを際立たせているのが、Ambrose (Bill Nighy)のたまんない存在感で、彼が出てくるだけで英国のコメディとしての臭み、というか風格が漂ってしまうのがすばらしい。 まさにアメリカのコメディにおけるBill Murrayとおなじようなかんじよ。
でも、最後のほうの展開はあらあらびっくりで唐突で - 監督はあの”One Day” (2011)のLone Scherfig.. - 口をあけているとついほろりと泣かされてしまったりもする。それでもいいか。
Gemma Artertonさん、”Hansel & Gretel: Witch Hunters” (2013)くらいしか知らなかったけど、柔らかいJessica Chastainみたいでよいねえ。
この映画の公開を記念してBFI(←お国の機関)では"Girls Like Us" - なんでこのタイトルか、は”Their Finest”のなかに出てくる - ていう戦時下の女性を描いた(プロパガンダ)映画の特集をやっていて、"Went the Day Well?" (1942)とか"The Life and Death of Colonel Blimp" (1943)とか有名どころを含めて戦時下の名作がごっそり上映されるのだが、26日にそのなかの一本 - “The Gentle Sex" (1943)ていうのを見た。 ※ポルノじゃないからね。
戦時下、イギリス陸軍が組織した女性部隊 - Auxiliary Territorial Service (ATS) - 補助地方義勇軍 - に志願した7人の女性たちのそれぞれの奮闘を監督のLeslie Howardのナレーションと共に、それぞれの家庭の事情とかを絡めつつものすごくまじめにストレートに描いたやつで、これが当時はボックスオフィスで当たったというのだから、なんかすごい時代だったのね。
これと併映で、飛行機の組立工場に働きに出た女性をドキュメンタリーふうに描いたお仕事勧誘のショートフィルム - “Jane Brown Changes Her Job” (1942) - も上映された。
こういうの見ちゃうと英国の女性の社会進出とか貢献とか、こうやって積み重ねてきたタフな歴史があるんだなあ、って。 日本なんていまだにお茶汲みの是非、みたいなレベルだもんな。
でもこれらは戦争のために作られたものだ、っていうことはまず頭に入れておかないと。
戦争は人を殺すことで、絶対やってはいけないことなのだ、って。
5.02.2017
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