17日の火曜日の夜中、San FranciscoのEmbarcadero Center内の映画館でみました。(Landmarkのチェーンだった)
とにかくこれはなんとしても見たくて、もういっこ見たかったのは"Man Up"だったのだがそっちはSFではまだやっていなかったの。
予告で”The Danish Girl”と”Carol”がたて続けに流れておお、だった。 なんか、いいなー。
50年代の初め、母と姉Rose (Fiona Glascott)と一緒に暮らしていたアイルランドから海の向こうのアメリカ - Brooklynに渡ったEilis (Saoirse Ronan) - 小説の訳では「アイリーシュ」だったけど - がミセス・キーホー (Julie Walters)の女子寮みたいなアパートに居を定めデパートの店員として働きつつ、イタリア系のTony (Emory Cohen)と出会って仲良くなって、やがてRoseが突然亡くなってアイルランドに戻ったらそこで旧知のJim (Domhnall Gleeson)とも仲良くなって、Tonyのところに戻るべきか母とJimのところに留まるか、で揺れるの。
原作の小説との違いでいうと、小説は小説ですばらしいし、そこは映画も同様で。
小説がEilisの揺れ動く感情のひだひだを織り目縫い目までちくちく追ってくるのに対して、映画はそこに見事な色(色味が全体にとてもよい)と陰翳を被せて夢のようなシークエンスを作り出している。 クラシックなメロドラマを見ているときに湧いてくるこの感覚なにかしら? がゆっくり、静かに満ちて襲ってくる。
「愛してる」を連発するTonyに「あなたに言わなきゃならないことがあるの」てEilisがいうところは小説のまま。 初デート映画で「雨に唄えば」を見にいくところ(ここはもうちょっと)も、コニーアイランドで水着に着替えるとこ(昔はあんなふうだったのね)も、いちいちじーんときたり熱くなったり。
New YorkもBrooklynもしっている。職場で出会ったアイリッシュのおじさんやイタリアンのおばさんもしっている。 今から60年くらい前のあの辺りの路上で、教会で、ダンスホールで、彼らの父親や母親がひょっとしたらこんなふうに出会ったり恋をしたり別れたりしていたかもしれない、そこにあったに違いないいろんな偶然とか魔法とか躓きとか、その重奏感にうっとりして泣きたくなったり。
大戦後、大西洋を超えたひとりの女性の… なんて目で見なくても見るひとそれぞれがいろんなところでちくちくしてため息ついて空を仰いで、になったりする、そういうスケールをもった映画。
とにかくSaoirse Ronanが本当に本当にすばらしい。彼女にとっても生涯の1本になることでしょう。 薄い青緑の目で、あんなに緑色が似合う女の子、見たことないし。
ラストは小説にはないおまけがちょっと付いていて、あれは脚本のNick Hornbyのファンタジーなんだとおもう。 全面的にゆるす。 泣いちゃうし。ずるいわ。
11.21.2015
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